2019年10月2日水曜日

香港・若気の至り

連日香港のデモ騒動が報じられている。香港は一度も行ったこともないし、特段の想い入れは無い。ただ多くの学生がこのデモの先頭に立つ姿を見ていると、無意味なことをしてもったいないと同情を禁じえない。国家権力に逆らって国の、或いは自治区の有り様を変えようと言っても土台無理に決まっている。日本も嘗て、学生が知識人とともに、国家の姿を変えようとデモの先頭に立った時代があった。最たるものが大学2年生時代の60年安保騒動だ。その後約10年学生運動が続き様々な事件があった。それで日本の何が変わったのだろう?日米安保関係に大きな変化があったとはとても思えない。

結局学生同士に深い溝が生まれてセクトが生じて醜い仲間争いが延々と続き、最終的に運動は権力に抑え込まれて先細りしていった。はしこい人間はそれでも生き延び、学生右翼化したりして現在に至った者もいるが、これはは極わずかで、あたら多くの学生が社会に出る前に履歴に傷を残し不幸な人生を送ることになったに違いない。学生運動の成果は成田空港の開港が少々延期されたり東京大学の入試が取りやめになった年があった程度で、日本の官僚主義の根本は殆ど変わらず、当時運動に熱を上げた青年は悔しい思いが強いだろう。

中国本土の天安門事件を思い出しても、結局学生の蜂起が殆ど無意味に終わったとも言える。あの時日本に逃亡してきた学生もいたようだが、殆どはアメリカとカナダに行ったようだ。日本の甘い権力でも学生の反乱は成功しないのだから、共産党1党支配で権力機構をがっちり固めている中国の一角にあって、民主化を求める事自体が間違っていると思う。アメリカに訴え、イギリスに訴え世界各国に訴えようが、訴えられた国にとしても支援のしようが無いだろう。

何処かがスケベ根性で内政干渉して、ウクライナの革命めいたことをして香港が独立したとしよう。結果は火を見るより明らか、経済的にも人権的にも香港市民は現状より悪くなるに決まっている。大人たちはそれが分かっているが、子どもたちにはどんなに言って聞かせても理解されないのだろう。厄介な話だ。

4 件のコメント:

kiona さんのコメント...

ごぶさたしています。

別に過激でもなかった運動に、本土からの工作員が潜入して暴徒化を演出、それを鎮圧する側の香港警察内には黒社会の人々までが動員されているそうです。運動側と鎮圧側の工作員同士は互いに目印を付けてわかるようにしたりとバレバレらしいのですが、日本でのマスコミの報道は情報が乏しく、貴殿のような思慮深い方までが、かつての日本の学生運動と重ね合わて解釈してしまうのも無理はないかと思います。そういう国の主席が国賓として招かれるのは「若気の至り」ならぬ「老獪」としても得策なのかどうか、なははだ疑問に思えるのですがいかがでしょうか。

senkawa爺 さんのコメント...

kionaさん
お久し振りです。また貴重なご意見をありがとうございす。
権力側の締め付けについては相当なものがあるでしょう。日本のマスコミが取り上げるデモの指導者たちも「何度逮捕されようと断固戦う」と威勢は良いですが、結局は長い刑に服さざるを得ないように思います。所詮1国2制度には無理があり、インタビューを受けた老人が言っていましたが、「2制度はなくなり1国が残るしかない。」民主主義国家なんていうのも夢かもしれません。

強権国家の元首が国賓の件ですが、トランプ氏でさえ国賓だったのですから善しとしようじゃありませんか。

kiona さんのコメント...

「一国二制度」は共産主義と資本主義と解されますが、実際は独裁主義と民主主義なのだから共存はありえないと言えるのではないかと思います。行政長官の自由選挙という返還時の約束を守らないのに「一国二制度」を堅持すると言っているあたりも経済制度限定の考え方であると念を押すかのよう。その限定は浅はかではないか、ということです。

こうなると香港は独裁国家に埋め込まれた時限爆弾で、しかも期限は迫っている。経済限定で組み敷けるのか、あるいは民主主義爆弾となって、あの国を新たな時代へ導くのか。「訴えられた国にとしても支援のしようが無いだろう」とのご意見ですが、アメリカでは待ってましたとばかりに新法ができたではないですか。

senkawa爺 さんのコメント...

kionaさん
再びコメントをありがとうございます。
確かに「一国二制度」は無理がありますね。中国も返還時から分かっていたでしょうが、そう言わなければ返還されず、苦し紛れに同意したことだと思います。
ですから、仰るとおり香港が中国政府にとって時限爆弾だと思います。将来どのようなことが待っているかは想像が出来ません