読後感「安倍官邸vsNHK」
相澤冬樹著 

奥付で著者の年齢を確認すると1962年生まれとあるからもう相当な齢(68歳?)である。自分のことで恐縮だが、就職以来初めて会社を離れたのが47歳の時、それでも決断には相当勇気が要った。NHK正規社員の定年が何歳か知らぬが、60歳辺りで一度退職金を貰っているなら問題なかろうが、退職金を貰っていないとすると、減額は間違いない。しかし本書の「あとがき」を読むとお給金の心配は全く無いようだ。

さすがNHK職員、鹿児島のラサール高校から東大法学部出身ながらずっと出世を気にせず報道記者、しかも大阪支局である。見上げた記者魂に先ず敬意を表したい。思えばこれまでに現役報道記者の書いた本を読んだ記憶がないだけに、大変興味深く読むことが出来た。内容は言わずと知れた大阪豊中市の「瑞穂の国記念小学校」、所謂籠池事件についてである。

一昨年2月、開校間際のこの小学校について、地元豊中市の市会議員がこの学校への国有地払い下げについて、その価格や経緯を問い質したのをきっかけに約1年以上は国を挙げての大騒ぎになったのはご承知の通り。その間近畿財務局職員が自殺をしたり、籠池理事長が詐欺容疑で逮捕されたものの人の噂も何とやらで、この頃ではすっかり忘れ去られてしまったと言っても過言ではない。

しかし著者はこの事件の本質は籠池氏のキャラクターではなく、なぜこの土地が不当に安い価格で払い下げられたかにあると断じ、その真相に迫る努力をしようと社内で頑張ってきたようだ。ところが所詮は大組織の宮仕え、報道機関とは言いながら共産圏諸国の報道機関同様のNHK故に、結局大阪支局内でも検察担当キャップの一線を外されて結局辞職へ。このタイプの人間は出世は出来ない。拾ってもらった「大阪日日新聞」に移籍。

給料などに一切文句はつけなかったようで、唯一の条件がアルバイトを認めさせたこと。その第一の本が12月25日に初版発売となった。流石に経験豊富なジャーナリストだけのことがある。タイトルがここに掲げた通りややおどろおどろしいが、官邸からの圧力について直接的な記述は一切無い。続編を待つ気持ちが高まる面白い読み物だ。

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