2018年12月12日水曜日

映画のようには?

外交と戦争は紙一重の筈、だから外交に関するニュースは余りに少ないうえに記事がどこまで本当か分からない。悪意をもって言えば、マスコミ諸氏は殆どが政府発表からしか記事を起草し得ないのかもしれぬ。日本の新聞にはまだ載っていないが、韓国の中央日報の記事に興味が惹かれた「北朝鮮が金正恩委員長の異母兄・金正男氏暗殺事件にベトナム国民を関与させたことについて謝罪したと11日、ベトナム外交筋が明らかにした。」そうだ。

ベトナムと聞くと何となくひ弱なイメージだったが、この交渉経緯の詳細を読むと中々どうして強かなものだ。ある意味でトルコの対サウディ以上かもしれぬ。今や世界中の国が諜報機関の中に007のような組織を持つのが当たり前のようだ。丁度1か月前に読後感に挙げた「自衛隊の闇組織」を読むと日本でさえ非公然ながら自衛隊の中で組織化されているようである。但し、自衛隊の中では国家的な謀殺は実行し得ない。官邸直轄でないようなので未だ半人前(故に却って無責任でヤバいかも)と言ったところだろう。

トルコにおけるカショギー氏の暗殺事件やマレーシアでの金正男氏暗殺事件を例にとるまでもなく第3国での国家による殺人行為は、幾ら金と暇ではないが入念な計画や相当な資源を投入しても容易でないことが分かる。サウディアラビアの実行部隊が、カショギー氏の遺体を本当に強い酸で溶かして下水にでも流したとすればトルコは手こずるだろうが、それでもトルコは相当サウディを追い込んでいるようだ。

今日のこの報道に興味が惹かれたのは理由がある。偶々昨日国会図書館で、1960年文藝春秋1月号に掲載された松本清張氏の力作「日本の黒い霧―下山事件の謎」を読んだばかりだからである。著者松本氏は相当言葉を選んで書いているが、内心これは占領軍の組織的謀殺と信じていたようだ。

ここに3件の事例を挙げたが、松本氏の推論を借りると(全て警視庁をはじめとする日本の警察関係の検証結果がベースになっている)これだけ大仕掛けな事件は関わる人間の数が膨大となり、それぞれ横の連絡がないので全体像を知っている人間はごく限られる。そしてそのグループ内に必ず当事国人(下山事件では日本人、トルコではトルコ人、マレーシアではマレーシア人)が存在する。

外国での完全犯罪は難しい。反逆者は本国で法に基づいて処刑すべきだろう。

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