2018年7月11日水曜日

自然環境と人

今回の集中豪雨は今朝の段階、全国で155名の死亡者が出ているとのこと。各自治体はそれなりに危険は以前から承知してると思われるし、日本は防災対策の先進国かと思っていたが、どこか変だな。反省しながら思う根本は、やはり自然を弄りすぎることだろう。山に入るのにバスに揺られて一定の標高まで行けることは有難いが、一昔前であればその地点に辿り着くまでに丸一日を要していた場所は各地にある。まして、人里では用水路の整備が進んで水の流れが良くなり、準じて小河川の底までコンクリートで覆う処も少なくないようだ。

専門的なことは分からないが、普段は具合が良くても、である。環境問題に疎いが、自然は山のてっぺんから海底まで境なく繋がっている。人間は自分の家の周り、或いは事業の都合だけを考えて、その先の環境に及ぼす影響については殆ど考えない。環境連鎖の影響なんてものが表面化するのは何年、或いは何十年も先になることもあるだろう。つい最近まで再生可能エネルギー開発のベンチャー企業を手伝っていたが、こういった視点では全く考えなかった。

再生可能エネルギーとは聞くだに格好いいが、日本の環境省や経済産業省が推進している政策は相当に問題がある。水力を筆頭に太陽光とか風力とかバイオマス(木質の燃料)更には地熱とか潮力とメニューは多彩だ。しかし何れも何等かの形で自然に手を加え、人間に都合のいい電力を造ろうとの魂胆である。原子力発電に比べると手軽で後顧の憂いが無いと言うことになっている。所管官庁が環境省ということも考えようでは皮肉にも思えるが、どのシステムをとっても自然環境を相当に破壊することは間違いない。


確かに停電が続いていた終戦直後を思えば、電気は使い勝手が良すぎるくらい便利であるのも間違いはない。しかしこれもどこかで歯止めをかけて、電力不足をある程度我慢する社会システムをそろそろ考える頃相かもしれぬ。電気もガスも全国にラインが張り巡らされてスィッチ一つでどうにでもなる生活なんて、アラビアンナイトの世界と同じこと。つい6、70前までは想像すらできなかった。兎に角便利さに馴染み過ぎると、今回の豪雨災害のように、このラインが断たれた時の反動が怖い。自然がそれを人間に警告しているのかもしれぬ。

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