2017年4月25日火曜日

軍事音痴

そこそこの兵器を持たされている15万人近い要員で構成される軍隊もどきの組織を持ち、防衛省と言う立派な役所まで持つに至っている我が日本。外国では防衛省は国防省と同等に見られるそうだ。外国の事情は詳しくないが、推測するに国防省と言えばどこの国でも、全員が軍人とは限らぬかもしれぬが、軍事の専門家で構成されるとしたものだろう。

我が国の防衛省は大臣が軍事の素人であるのは勿論だが、軍隊もどき組織の上に軍事とは無縁の内部部局が置かれて、これが一義的に素人の大臣を補佐する仕組みになっている。軍事組織は他省庁の外局扱いになっているのだ。ところで「軍事」とは何かである。軍事学を学んだことも無いので全く分からないが、一般論として考えてもかなり高度な教養を必要とするものであることは確かだろう。軍事は特殊な世界だから一般論では済まず、専門的領域が多くあるはずで、指導的立場に立つためには相当な専門知識と専門技術を身に着けることが要求されるのが常だろう。

このため防衛省内には一見戦前の士官養成学校に似た幹部の養成学校も存在して、ここの卒業生でなければ軍事組織の幹部にはなれない。しかし、問題は国内で一人前の軍事教育が可能か否かだ。もちろん指導者がいないのだから不可能であろう。幹部養成学校の生徒全員がアメリカあたりの士官学校に留学する仕組みにはなっているかもしれぬが、何れにして国内でまともな軍事教育は出来ないだろう。仮に軍事組織では可能であっても、軍事部門の人間は前述の内局の壁に阻まれて政策決定に関与は出来ない。

軍事政策の全てが素人集団で意思決定されていることになる。なぜこんなことを書くかであるが、昨日と一昨日元防衛大臣二人(中谷氏と石破氏)をテレビで見て、何と素人臭いかと思ったからである。一緒に出演していた若手の政治学者の方が、現状認識や分析力で遥かに明解であるのに、元大臣経験者の発言は共に政治的発言と素人目にも根拠薄弱な希望的観測に満ちていた。そして何よりも問題だと思ったのは、二人とも口を揃えて「トランプの先制攻撃は大いにありうべし」と発言したことにある。

幾ら同盟国の政治家でも、国際法無視の先制攻撃を「あって当然」と平然と口走る神経を疑う。

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