平和国家

一度も行けなかったがスイスには憧れていた。アルプスの山脈と美しい湖水に恵まれ、平和と勤勉を愛することを世界中が保証している宝石のような存在、といったイメージだろうか。いつの頃からか知らぬが平和のシンボルオリンピック委員会の本部が置かれ、1月には世界中から政治経済の指導者が集って、世界平和に向けての議論を交わす「ダボス会議」なんて存在も知るようになった。有名な菓子屋や精密機械メーカーもあるし、山やスキーの愛好家が想像するに夢のような国だから、一度行くことを夢見たのも当たり前だ。

面積もたいして広くないようで、多数の国民が数か国語を使いこなすもよく聞いたところだ。しかし逆に考えてみると、訳の分からない銀行も多数存在するのでマネーロンダリングに利用する悪漢も出入りするだろうし、スパイ活動にはもってこいだろう。残念な事実としては、先の大戦の終戦間際スイス大使だった加瀬俊一の働きは成果を生まなかったこともある。

そんなスイスのある企業に、イランが核濃縮装置を秘密発注していたらしい。これを嗅ぎつけたアメリカの諜報機関(CIAらしい)がその阻止に動き始めた。一方でアメリカの別組織(国防省の裏組織=狂犬と呼ばれてはいなかったようだが、狂信的な退役将軍をトップとする怖い兄さんの集合体)がダボス会議に出席するイランの政治指導者の暗殺を企てる。この二つの糸が複雑に絡み合いながら相手を出し抜こうと戦いを繰り広げる。

実はこれは10年くらい前に書かれたスパイ小説の骨組みで、つい先日豊島区立図書館で見つけて読んだばかり、読後感を書くほどのものではないが、主人公が国境なき医師団の外科医で山岳ガイドとスキーインストラクターの有資格者。話は少し複雑のきらいはあるが非常に面白かった。「欺瞞の法則」クリストファー・ライク著 講談社文庫(上下2冊)である。

先にこの話を持ってきたのは理由がある。即ち昨今世間を騒がせているアメリカトのランプ大統領令(7か国に対する入国禁止令)に反対する騒ぎを連想したからである。日本の総理は「他国の内政問題だからコメントを差し控える」そうだが、主だった国のリーダーは最大の同盟国英国のメイ首相でさえ、明確に反対の意思表示をした。

この問題を巡りアメリカ国内が大揺れに揺れているのはご案内の通り。与党共和党内ですら纏まらないのは良いとしても、軍部や諜報機関なんかの実力組織が、別の意味があるのかもしれぬが、素直に大統領令に従おうとしていないようだ。アメリカの政治の仕組みや法執行の体系なんか全く分からないが、映画や小説で知る限り、物凄く複雑であるのはケネディ暗殺事件を持ち出すまでも無い。トランプ大統領も最大のペット国の首相を別荘になんか招待して、呑気にゴルフなんかしている余裕を見せるのは、それこそ他国のことだから良いとしてである。

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