2016年5月2日月曜日

政治家の外遊

連休ともなるといかなる強迫観念にかられるのか、大勢の人が旅行に繰り出すのがこの国の定型。当方も御多分に漏れず、早速長野市の観光スポットまで足を延ばして疲労をお土産に帰宅したばかり。兎に角全国民が同じ行動パターンに嵌っているのだから、行く先は多様化している。少しお金のある人々のように、目的地を海外に定める人も少なくはない。今年はそれでも不景気が災いして海外旅行者は少し少ないとも聞いている。それでも多くの外国人から見れば、日本は豊かでお気楽な国に映っていることだろう。

老若男女貧富を問わず国を挙げてのことだから、特定の人にだけ、この流れに乗ることを許さないとなれば問題かもしれぬ。その問題あることについて一言書きたい。政治家の海外旅行である。総理閣下は昨日欧州からロシアにかけて7か国の歴訪に旅立たれた。岸田外相もどこかを歴訪中だし、大島衆議院議長もワシントンでどなたかと会談と報ぜられている。閣僚から陣笠先生に至るまで国会議員から村会議員まで、あげつらえば実に多数の先生が海外を旅行中に違いない。

このうち何人が私費で行っているかを問えば、これまた推測にすぎぬが皆無に近いのではと思う。総理閣下は政府専用機だから、同じ官費でも一番の豪華版だろう。素人考えで言えば、今どき政治家が海外旅行しなくてはならない用件などあろう筈がない。数少ない例は海外で開催される国際会議だろうが、国際会議で日本の政治家の発言が重きをなしたなんて話は寡聞にして聞いたためしがない。近年、政治家同士が海外で談判したのは甘利元TPP担当相くらいではないか。これとてどこまで本当に必要性があったかについては疑問を感じている。どうせ主な交渉は役人がやるしかなかったろう。

EU諸国の場合は国家が2重になっている感があるので、政治家たちも国境を超える用事が頻発する可能性はありそうなので、例外にさせてもらいたい。あるのはただ単に私的欲求だけだ。私的欲求も様々だろうが、海外事情を自ら確かめ教養を深めるためと言うなら、古くは大久保利通や岩倉具視の例ではないが、1回や2回は許してやろう。今の政治家は青少年から見ると、まるでバカの見本のように見えていると聞くが全く同感である。どう見てもバカ殿の大名行列のような海外旅行をしたくて国会議員になっているようにしか見えぬではないか。

舛添都知事の海外旅行が週末のお別荘行と相俟ってマスコミに一斉に取り上げられて叩かれている。彼が何か勘違いしているのは確かだし、擁護する気は更々ないが、似たような人種は国会内に腐るほど居る。マスコミは何故同じように問題視しないのか。結局は記者の多くもも同じ穴の狢にすぎぬのだ。因みに名前を挙げた序だから一例を挙げておこう。

岸田外相の日中(王毅外相)会談(4月30日)に関して
サミットを前にして、中国問題の扱いについての根回しに赴いたことになっている。しかし結果的には得たものは何一つ無く、4年半ぶりでやっと実現と言われながら、食事のご接待にも与らず共同記者会見も無しで、次のようにけじめを取られて追い返されている。
「中国の王毅外相が岸田外相との会談で4つの要求(1歴史を直視・反省し、一つの中国政策を守る。2中国脅威論をまき散らさない。3経済面で中国を対等に扱い協力を推進する。4国際社会の問題で中国への対抗心を捨てる)を突きつけた。」これは今日のサンケイが書いたが、当日1日の各紙は、さしの対談は4時間にも及ぶ長く、真剣な会談になったなどと書いている。

主要国の賢い政治家は、日本外務省が国会議員御用達の旅行代理店に成り下がっていることを見抜いているのだろう。情けない限りである。

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