2016年3月16日水曜日

勉強不足

断っておくが自分のことや家族のことを棚上げにして、我が国の政治家諸氏のことを批判したい。昨日の読後感に書いた本からも学んだが、中国共産党の幹部は殆ど例外なく中国共産党中央党校で、政治指導者に必要な理論を叩きこまれるものらしい。これは過去に於いて自民党派閥が行ってきたとされる新人教育とは大分趣を異にしているようだ。両方とも知らない世界のことだが、少なくとも前者はwikに<哲学、経済学、科学社会主義、政法、中央党史、党建設、文史の7つの教学研究部がある>と記されているからには、かなり論理的教育であるのが推測される。一方派閥の先輩による教育とは、国会議員としての実務教育だろうから、おして知るべしである。

我が国政治家には弁護士資格所有者もいるし、役人上がりで国家公務員資格所有者もいない訳ではない。他には松下政経塾出身者なんて人もいる。こういった種類の人は、それなりに若いころ法律や政治ついてある程度の勉強をした経験はあると見るべきかも。しかし、その勉強の目的が政治家を目指すところにあり、それなりの国家目標をベースにしての勉強であったかどうかは甚だ疑問である。会社の社員でも同じであるが、学生時代の成績より、入社してから実務に即して教育されたことの方が遥かに重要である。

この観点からすると日本の国会議員の勉強不足は否めない。1年生議員が有頂天になって不倫をするとかの問題ではない。大臣になるようなキャリアの人間についてのことである。昨夜のテレビで、石破地方再生担当相の法案読み間違いと、佐藤経産相の原子力発電とその結果生じる放射性廃棄物処理に関する認識の甘さが指摘されていた。佐藤経産相の問題は参議院予算委員会で民主党大塚耕平氏の質問で立ち往生したとのこと。

今日改めて件の質疑をネットでチェックしたが、酷いなんて事では済まされない。経産省は28年度に、核燃サイクルに絡んで新たな認可法人(天下り先を増やす腹だろう)を作ることを意図しているようだ。大塚氏はそのことに関係して、原発関連の質問を佐藤経産相の他に丸川環境相と馳文科相に対し、軽いと言っては何だが、基本的な質問を投げかけた。

考えてみれば当然でもあるが、3人とも大臣就任まで原子力政策なんか考えたことも無かったろう。核燃サイクルに関する質問をしますとの事前通告があったにしても、核燃サイクルなんか一夜にして理解することは不可能である。表面的な質問には官僚が用意した文章を読んでやり過ごしても、そこから各論に突っ込まれたら立ち往生するのは目に見えている。そもそも原子力政策が3省の縦割りになっていることにも異論があるが、今日は脇に置く。

要するに、大臣は役所のお飾りだから年季が入った政治家なら誰にでも勤まる、との考えが決定的に間違っている。政治家こそ、政治家になってから、自分で決めていいし、先輩からの指示でも構わない。テーマを決めて真剣に勉強して己の得意分野を持つべきだろう。得意になったのは集票能力と集金能力だけの長老議員が多すぎるように見えて仕方ない。大臣はまるで通告が無い質問には答える義務が無いように考えている風情だ。マスコミには、そのことを正当化する評論家まで存在するから呆れるばかりだ。国民は壮大な田舎芝居を観るために高い税金を払っているのか?東京政治学院でも創って、政治家の教育と国家試験が必要に思えてきた。

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