2015年12月14日月曜日

発言への責任と発言の真実味

旧暦の今日は赤穂義士討ち入りの日。元禄時代と現在では暦が異なるので、極月半ばの14日と言っても季節が1ヵ月か2か月ずれているそうだ。それにしても変に暖かくて、師走の実感がわきにくい。しかし今年も余すところ僅か。「年の瀬や 水の流れと 人の身は」と問われて何と答えるべきか。とてもじゃないが「明日待たるゝ その宝船」とはいかぬ。身体の劣化を強く感じざるを得ない年の瀬だ。

この週末はスポーツ界で若手選手の活躍が目立って、嬉しいニュースが多かった。中で特筆大書すべきは羽生結弦選手のバルセロナで行われたフィギュアスケート・グランプリファイナル男子シングルでの活躍。演技は圧巻としか書きようがないが、330点を超える史上初の点数を確認した途端に思わず流した涙に彼の胸の内の全てが洗われた居たように思った。試合後のインタビューでは、試合前に襲われた強いプレッシャーについて淡々と語り、いつものことながら応援してくれているスタッフやファンへの感謝が実に良い。殆どのアスリートが似たような発言をする。

この大会には日本人選手が12人中5人も出場した。浅田真央選手の不調は残念だったが、何と言っても世界中の選手の中で選ばれるのは男女それぞれ6人ずつだけだ。他の4人の活躍も専門的な目で見れば大いに賞賛すべきところも多いことだろう。例えば女子の宮原知子選手は2位に入賞しているが、その得点は荒川静香選手がトリノオリンピックで金メダルを獲得した時より遥かに高いらしい。それだけ競技界全体のレベルが上がっているらしい。そんな世界で高みを目指すと言うことは生易しいことではない筈で、嘘やごまかしが通用しないことは明らかだ。

それがインタービューなどの発言に自然と現われるので、観客も感動を覚えるのだろう。それに引き換え同じ週末に報道された政治家の発言。二題話となるが、一つは、二年後の消費税再引き上げ時に軽減税率適用に関する自公の与党協議の大筋合意を受けて、自公両党の幹事長がそろい踏みで会見。発言内容は『軽減税率適用についての合意はしました。』後を敷衍すれば『後は野となれ山となれです。』と極めて無責任。

二つ目がインド訪問中の安倍総のインドのモディ首相との会見を受けての発言。こちらは『原子力協定の締結について実質合意したほか、インドの高速鉄道計画への新幹線方式の導入で合意するなど、日本とインドの「新時代」を掲げていて、両国の関係強化に加え、個人的な親密さもアピールした形です。』と報じられた。こちらは自慢たらたらで、自国で廃止を目指すと称する原発施設を、核非拡散条約に入らず核爆弾開発を進める国家に売ることについての反省は微塵も無く、無責任の極み。

アスリート言葉が胸に迫り、政治家の言葉がむなしく響く昨今を困った世の中だと思っていたら、今朝次の記事が目についた。『先週9日の水曜日、憲政記念館で、民主党政調会長代理/立憲フォーラム幹事長の辻元清美衆議院議員の「政治活動20年」の集いの際、拉致被害者の会の蓮池透さんが次の発言をしたとのこと。「安倍晋三という人は拉致問題を政治利用して総理にまでなった。しかし、私の弟を含む拉致被害者5人が“一時帰国”した時に彼らを帰さないと決断したのは安倍さんだということになっているのは嘘で、彼は何にもしていない。』政治家の発言が心に響かないのも無理はない。

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