2015年11月1日日曜日

総理表敬の偽装と擬態

スポーツ選手の精進には擬態はあり得ないし、競技の結果に偽装もあり得ない。しかし、男子フィギュアの羽生結弦選手でさえ、グランプリ・カナダ大会のように試合で最高の演技が発揮できず、不本意な成績に終わることもある。しかし、その競技に打ち込むひたむきさは誰が見ても清々しく感じるだろう。体操の世界選手権では個人6連覇を果たした内村航平選手でさえ、団体戦では床と鉄棒ではとんでもないミスを犯した。それでも、他の選手の善戦もあり、団体で37年振りの優勝とは嬉しい限りだ。巷には聞くだに嫌になるような暗いニュースが多い中、一服の清涼剤になるのはスポーツ選手の活躍だけと言うのは実に情けない世の中ではないか。

原発再稼働承認や沖縄基地問題など重要な案件が山積している中、何の目的があったのかはっきりしない中央アジアの国々を表敬しまくって、お金をばら撒いてきた安倍総理が帰国したのはいつだったのだろう。総理が国内にいるときニュースになるのは有名人の表敬である。数日前にもノーベル賞受賞の先生お二人が「総理を表敬」と報道されたから、いつ間にやら帰国されていたようだ。

マンション建設で偽装問題を指摘しているマスコミも、総理周辺の報道についてはおかしな日本語の使う。総理が有名人を呼びつけて、面会の様子を報道させることを「表敬」と言うか?官邸に招いて個人的に褒美を上げたなら、そう書けばいいではないか。個人的には褒美も上げられないので、先方が訪ねて来て総理に敬意を表したと言うのか?そんことは無いに決まっている。「表敬」なんて言葉が中学校のテストに出たら、新聞社は責任を取らねばなるまい。

その総理が、今日また隣国とは言え外国に行かれた。今度の外遊は単なる表敬ではなく、目的がかなりはっきりしている。日中韓首脳会談に臨むためである。日韓首脳会談は3年以上開かれていないそうだが、米国オバマ大統領から、日韓双方にかなり強力なプレッシャーが掛かってと報道されている。日中韓は互いに隣国であるから、経済関係のみならず、相互に関係することは沢山ある筈で、それこそ頻繁に表敬があってしかるべきだろう。

それが、日中日韓関係はどうもぎくしゃくし過ぎている。当たり前だ、現政権は先の中央アジア訪問でもそうだったが、口を開けば価値観の異なる国として中国のことを悪しざまに言って歩いている。韓国については歴史観の違いが、何時まで経ってもすっきりしない。否定するならそれでいいが、口先では戦後70年の談話に観られるように、村山談話や河野談話を受け継ぐようなことを言ったりするから余計ややこしい。

総理は、最近騒ぎになっている横浜のアパート建設に関するデータ偽装問題をどんな気持ちで受け止めているのだろうか。少なくとも外交は国家の威信を背負った真剣勝負の筈、擬態や偽装が通じる筈も無かろう。国際試合における若手スポーツ選手の精神を見習うべきだ。

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