2015年10月10日土曜日

福島県民の潜在的脅威

個人的なことを言えば、昨年7月発見された前立腺にがんが先月末までの治療を経て、今週月曜日に一応の収束に至ったみたいでホッとしている。「がん」は身体のどこに発生しようと厄介な病気である。発生の原因や予防方法が確立していないし、場合によっては死に至ることはよく知られている。こういった原因不明の病気の原因を探り、予防法の研究をする学問が疫学と言う分野らしい。

日本は医学の先進国であり、近年はノーベル賞受賞者が立て続けに出ているくらいだ。しかし残念ながら、人のデータを分析する疫学者の数が欧米に比し圧倒的に少ないとのこと。そんな中にあって日本で一番疫学者の数が多いとされる岡山大学の津田敏秀教授が、2011年3月の福島原発事故により放出された放射性物質と、住民に今起こってきている甲状腺癌の因果影響を定量的に明らかにする調査研究を続けている。

最近これまでの研究結果を論文にまとめてどこかの学会で発表したのだろう。そこに明らかにされているのが<甲状腺がん>「日本全国と比べ最も高いところで約50倍、低いところでも20倍の多発が起こっている」である。この論文について一昨日が国人記者クラブで会見が行われた。昨日は一度もテレビニュース報道を見なかったので、既報なのかもしれぬが今朝の新聞には関連記事が無かったような気がする。

今日になってたまたま記者会見をネットで見ることが出来た。津田教授は、福島県内の甲状腺がん多発は福島原発に起因しているのが明らかで、今後チェルノブイリ同様に益々患者数が増えるだろうと指摘。政府は早急に対応策を講ずるべきと強調している。ところが福島県でも同様な調査を実施していながら、政府や福島県は次のように述べて、何の対応策講じようとしないでいるらしい。

『国立がん研究センターの津金昌一郎がん予防・検診研究センター長は「事故前と比べ発症率が高いのは事実だが、甲状腺がんは世界的に検診による過剰診断の傾向がある。被ばく量との関係を調べなければ関連は分からず、結論は時期尚早だ」と指摘している。』如何にも日本の役人が言いそうなセリフではないか。暇な方はネットで下記をご確認ください。かなり長時間にわたる会見で、主なテレビ局は殆ど取材して質問をしています。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4371.html

質問の中には「甲状腺がんの危険が分かっても福島県の住民は逃げる訳にいかないのだから、どうすればいいのですか?」がある。もっともな質問であろう。津田教授は「危険を前提に考えれば、住民自身にしても行政にしても打つべき予防策は沢山あります。」と答えている。これもまた然りだ。都合の悪いことはなるべく知らない振りをする、日本人か政府の悪い癖である。

0 件のコメント: