2015年9月23日水曜日

国家百年の計

岸田外務相のことは何も知らないが、これまでの立ち居振る舞いを観る限り温和な感じで、総理の取り巻きとはちょっと変わった雰囲気を醸し出しているように見えた。ネットで確認すると、広島出身で早稲田の法学部から一時長銀に入行、4年か5年だけで辞職して議員だった父親の秘書になっている。祖父も議員だったそうだから典型的な世襲の3代目。総理と似たようなものだが、半ズボンに白いソックスの特殊学級の児童みたい恰好で、ゴルフに興じている総理より大分まともに見える。

岸田氏は現在名門派閥「宏池会」を率いる会長だそうだから、自民党内の政治力もそれなりのものがあるのだろう。閣僚の中でも外務大臣と言えば日本の顔見たい重要ポストに就任していることからも伺える。小なりとは言え、日本を代表してアメリカのケリー国務長官やロシアのラブロフ外相と対等に渡り合わねばならない運命を背負っている。更に今国会では、安保法案の改正の大問題があったので、国内問題で3か月に亘って国会に張り付きぱなしとなって、相当ストレスが溜まった筈だ。

ところが、シルバーウィークで羽を伸ばし続けている総理が、「の連休にロシアに行ってプーチン大統領訪日のお膳立てをして来い。」と命令したらしい。これだけの案件を曲りなりに処理したのだから、普通のリーダーであれば外相、防衛相、法制局長官の3人くらいには何はともあれ、論功行賞をして「少し休め」と慰労するのが普通のように思うが、さすが安倍総理だ。己は休暇を楽しんでも、国家国民の為に部下に休む暇を与えない。政府組織では総理と一大臣と、若干格の違いあるのだろうが、派閥の長としては同格の筈。

二人の間でどんな打ち合わせがなされたか知る由も無いが、結果から推測するに、何の事前検証も無しに遣いに押し出されようだ。岸田外相も前日までは安保法案対応一色だから、ロシア情勢なんぞ殆ど頭に無かったのではないだろうか。お腹が痛いとか熱があると言って断ればいいものを、部下を信頼しきっているのかどうか、何とかなるだろうと引き受けたに違いない。囲碁でもよくあるが、何とかなるだろうと思って踏み出した一手が何とかなった例がない。

外交なんてものも、複雑さに関しては囲碁に勝るとも劣らないだろう。案の定、昨夜からのニュースをテレビで観ていると、今回の日露外相会談はこちらから恥を晒しに行ったような次第で、惨憺たる結果に終わったようだ。それにしても会談終了後の岸田外相の不貞腐れかたは尋常じゃない。命令を下した馬鹿な上司とアホな部下に対する怒りがもろに出てしまった。「馬鹿な上司とアホな部下は」サラリーマンを辞める人間の決まり文句でもある。

何度も経験している人間が書いているのだから間違いない。しかし外務大臣様となれば、並みのサラリーマンとはかなり違うだろう。もう少し冷静になって、国家百年の計を慮ってほしいものだ。

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