2015年9月15日火曜日

集団的自衛権行使の「蓋然性」

友人から「お前は時々難しい言葉を使うなぁ。」と皮肉を言われることが多い。確かにその通りで、子供と同じように新しい言葉に飛びついて、それをすぐひけらかし、物知り顔をしたがる悪い癖がある。ものを知らない人間共通の癖だろう。昨日初めて知った「蓋然性」なんて日本語も、もちろんこれまでに使ったことが無いので嬉しくなって本日のタイトルにした。

教えてくれたのはまたしても婆さんである。婆さんは実家の母、何と御年90歳から聞いたらしい。「昨日の参議院安保法制特別委員会で、安倍総理が民主党議員の質問に答えられずパニクったので面白かった。」だそうだ。90歳のお婆さんが、国会審議をテレビで観ているとはびっくりだ。夜の報道ステーションでそれらしきシーンが紹介されたので、今朝パソコンで確認した。

民主党大塚耕平氏の質問で「日本が侵略されていないのに、日本と密接関係にある他国を攻撃してきた相手国を日本が攻撃する理由」を問うた質問である。先ず前提として、質疑の対象となっている法案の趣旨はこうだ。日本の友好国が負けると、日本の存立が根本から揺らぐ可能性がある場合、これを存立危機事態と称して集団的自衛権を行使できる。即ち日本が直接侵略されていないが、友好国を攻撃してきた相手に対して日本が敢然武器を取って戦いを挑む。

3要件とか小難しい理屈はあるが、大まかに言えばこんなことだろう。そこで、大塚氏は「他国の戦争に行っているのに、日本の存立にかかわる蓋然性はどのように判断するのか?」といきなり総理に質問した。そこに至るまでは例によって中谷防衛相をさんざ追いつめていたので、総理も安心しきっていたのだろう。突然の指名に慌てて手元の虎の巻で「蓋然性」の項目を探るが、なかなか見つからない。

やっとのことで探し当てた頁を読んだが、何のことはない。「他国の戦争で日本の存立にかかわる蓋然性は、その時の政府が諸般の事情を総合的に判断して決める。」である。要するに、蓋然性の具体的事実なんか何一つ述べようもないのだろう。米軍と行動を共にしていて共に戦わざるを得ない状況になれば、当然相手国の反撃を招き戦争状態になるに決まっている。戦争が始まってしまえば蓋然性の判断も何もないだろう。と大塚氏は言うのである。

「蓋然性」とは平たく言えば高い可能性らしいが、元々安倍総理が使いだした言葉らしい。この質疑を通して集団的自衛権についてまた一つ分かったことがある。これまでに国連に報告されている集団的自衛権の行使は17件だからしいが、その殆どがアメリカとソ連で、ベトナム戦争への介入やハンガリーやチェコの内乱への介入で、日本のような小国による行使は例がないらしい。既にこの法案のインチキ臭さは十分わかっているが、聞けば聞くほど嫌らしくなる。

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