2015年8月5日水曜日

国家の危機管理

昨日の参議院安保法制特別委員会で、民主党桜井充氏が質問の冒頭、総理に先日ウィキリークスが明らかにしたアメリカ米国家安全保障局に依る日本政府高官の盗聴事件について問いかけた。「このニュースに接してから国家安全保障会議を開きましたか?」総理の回答は「一民間機関の情報に一々コメントするつもりはない。」で、結論的には一応アメリカに問い合わせをしているよ。である。桜井氏は、この件は党派の対立を超えて対処すべき重要な問題と思うのでとして、「盗聴した当事者に、あなたは盗聴しましたかと聞いてまともな返事が蹴ってくるものですかね。」些か呆れ顔であったが質問を打ち切った。

今日病院の待ち時間14時少し前にテレビを観ていると、TBS「ひるおび」でゲストに元外務官僚の三宅邦彦氏を入れてこの問題を取り上げていた。安倍総理が今日になって米国バイデン副大統領に電話「「同盟国の信頼関係を揺るがしかねないものであり、深刻な懸念を表明せざるを得ない」と伝えたとのこと。ゲストの三宅氏も「電話でなんか重要な話をしませんよ。」と、大した問題でないと言わんばかりの解説。

昨日報道された次の甘利TPP担当相のコメントと軌を一にしている。「事実であれば極めてけしからん。今までの報道を見て、日本だけが(盗聴の)例外ではないと思っていた。TPP交渉ではそういう事態を想定している。仮に盗聴されていても、それを元に対応するととんでもないことになる。」何れにせよ、昨日の段階では各閣僚が口を揃えて「遺憾」を述べているだけだったが、事の重大性にやっと気が付いたようだ。現政権が対米追随一辺倒は昨日書いた通りだから仕方ないのかもしれぬが、余りの脳天気ぶりには素人ながら驚かざるを得ない。

閣僚ともなればスパイ小説なんか読んでいる暇もないのだろうが、米国諜報機関がビッグデータをどのように利用解析しているかを誰かに学ぶべきだ。重要なことは話していないから大丈夫だと?とんでもない勘違いである。例えば総理の使っている電話番号の全てについての受発信履歴からだけでも、総理の考えていることなんか容易に推測できてしまうことがあるのだ。日本も米国を真似て日本版NSCを創設なんて得意がっているが、盗聴はおろか情報収集能力ではゼロに等しいのではなかろうか。

これで国家存立危機事態だことの蜂の頭だとよくも言えたものだ。米国の植民地状態に置かれている限り何も心配することはないなら、偉そうなことを言ってくれるな。戦争をするつもりの無い平和国家だから良いようなものの、それこそ普通の国であれば、国家機密漏えいが明らかになった以上、相当深刻に受け止めて対策を講ずるとともに、相手国に対して厳重な抗議をするのが当たり前だろう。なにもドイツやフランスが例外ではない。日本が如何に特殊であるかだが、ここにも現政権のご粗末さが現われている。

関連して思いついたことがある。なんで安倍政権は唐突に安全保障関連問題でとんでもないことに着手したかである。安倍総理は現在行政府のトップにあって特権意識だけは高そうだが、よく考えると彼は行政府の経験として官房長官を経験してはいるだけで、省庁のトップを一度も経験していない。英語で言えばスポークスマン経験だけで、行政権はこれまたゼロと同じだ。国民生活と接点を持つ行政府の経験無くしていきなりトップに就任したのは能力以前の問題として、政治家として決定的な資格を欠いている可能性がある。

氏の浮世離れした考え方の根底にはこの経歴の異常があることに気が付いたが、多くの国民も同じ気持ちだろうが後の祭りだ。何で彼が党役員としてはトップの幹事長職を経験出来たのかも又不思議である。それほど家系血筋がこの日本では未だにものを言うのか?国家の危機から変な方向に来てしまった。世襲議員について是非論があるが、総理を見ている限り否定論に傾斜せざるを得ない。

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