2015年5月26日火曜日

同人誌主宰の先輩

昨年来、大学卒業後最初に入った広告会社の先輩で、当時の制作部長が現在主宰している同人誌「縦走」(季刊)に、このブログから適当に選んだ記事を投稿するようになった。同人誌と言ってもA5版32ページ建てのこじんまりしたものだ。しかし、この春号で65号目になったから15年以上の伝統を持つ立派なものである。主宰されている先輩は90歳になろう程のお年だから、立派なアプレゲール、筋金入りの反権力の平和主義者であるのは不思議でない。

学生時代に、先生達や国家指導者から新聞ラジオまで、昨日までの権威・権力者の言う事が一夜にして180度ひっくり返れば誰でもそうなるだろう。先輩は多分中学生くらいだったのかもしれぬ。その後師範学校を経て教員の職を模索しながら、演劇も志したようでもある。この手の人が共産党党員にならない方が不思議だが、先輩も一時は党員にはなったようだ。今でも変わらないようだが、革新グループて奴は何で必ずのように仲間内で争いが起きるのだろう。

先輩もそれに嫌気がさして、結局は共産党から脱退し、とどのつまりが資本主義の促進剤のような広告屋でのアートディレクター職について、人生の大半を過ごしたことになる。でも終戦を境に受けたショックで身に着いた反権力精神だけは拭い去れなかったようだ。同じような年代では読売のオーナー気取りの渡辺恒雄氏なんぞも共産党からの転向組だが、反権力思想も一緒に脱ぎ去って来ているところは大違いである。人の考えはいろいろだから、別に渡辺氏を批判するものではない。

その「縦走」夏号の原稿締切が今週末に迫ったので、又ブログから適当なものを選ぼうと思って募集要項を再確認した。毎号特集テーマが設定されているので、なるべく近いものを選ぼうと思ったからである。確認すると次回テーマは「国家」となっていて、編集長の先輩が次のように敷衍している。

「漠然と考えると、国家は国民を守るべき義務を負った機構であると思っている人が大半であろうが、そうは思っていない人も少数派ながらかなりいる。90歳以上の男性で、かつて戦争に駆り出され死地をくぐり抜けて奇跡的に生還した人たちだ。大日本帝国は戦争を始めることによって、徴兵制度のもと情け容赦なく、成人男子を戦地に駆り立てた。戦死者よりも餓死者の方が圧倒的に多かった無残な敗戦。つまり、国家は国民の敵になった歴史を我々は経験しているのである。(編集長)」

毎日死と向き合いながらも、子孫のことを考えている先輩の気持ちがよく分かるし、実に時宜を得たテーマだ。余りに重い言葉なので、昨日までのブログを「日本国」で検索を掛けて、上がってきた中から適当な1,2編をと思っていたのをやめて、改めて真剣に考えて原稿を書いた。真剣に考えてと言っても、どうせ小生のことだからたかが知れている。今日ここで披露しようかとも思ったが、分量が多くなりすぎるので日を改めたい。

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