2015年4月15日水曜日

安保法制改正

地方統一選挙前半戦結果は自公与党の圧倒的勝利で、政権は笑いが止まらぬようで、公明党と早速安全保障関連法令の取りまとめ協議に入っている。この協議もなんか見え見えで、公明党は「自衛隊を海外に派遣するについて「国会の事前承認が必要」と一旦は抵抗する姿勢を見せながら、結局は妥協するだろう。自衛隊が軍隊そのものの姿に変身していくのを目の当たりにしていながら、憲法9条で歯止めが掛かっているから他国の軍隊とは基本的に異なり、戦争に巻き込まれることは当分ないだろう、と暢気に構えてきた己の考えの甘さに今更ながら口惜しい思いもある。

自衛隊の存在そのものが違憲か否かについて、曖昧にしてきたつけが今廻ってきたわけだ。どこの国にも建前と本音の違いは存在するのだろうが、日本は形式美を重んじるところから建前をとりわけ重視する傾向がある。長年先輩政治家によって守られてきたその伝統を破るのは簡単ではないだろうと思ったが、こうもあっさり破られてしまうとはである。ヤクザの世界で新興愚連隊が昔気質の親分を排除する東映の古い映画を見るような気がしなくもない。

東映の任侠映画では、高倉健のように古い親分に筋を通す若いヤクザが出てきて、最後は新興愚連隊がなぎ倒されることになるが、平成の現代ではそうはいかない。総理が望むような列強国の仲間入りに一足飛びにはいかないだろうが、我が軍が積極的にアメリカ軍の下働きをする日は遠くないだろう。今更後悔しても始まらぬだろうが、中途半端での放置がいけなかった。もっと早いとこ憲法改正をして、日本国の軍隊をきちんと整備すべきだったと臍を噛む。

本土の防衛、専守防衛であろうと何だろうと、国家は常に他国との戦争を想定していないといけない。軍事戦略専門家も必要だろうし、勿論仮想敵国も必要だろう。防衛省の背広組と言われる内局の人員は全て軍事の専門家でなくてはならないことだ。しかし現状は経産省や財務省からの出向者が大きな位置(地位)を占めている筈。軍事情報とは縁遠いところから来た立法の専門家が、武官の上に居るからなにかにつけて中途半端なのだ。

当然武官にもフラストレーションが溜まり、たまに田母神閣下のような人材が現われたりする。推測するに友好国軍部との情報交換にしても、基本的には内局の背広組を通さない訳にはいかないだろうから、外国からの情報提供もかなり限られてくるはずだ。幾ら頭が良い人材でも情報の供給が不足していたのでは、最適の戦略が組める筈も無い。安倍総理の我が軍発言に見られる通り、総理は自衛隊を立派な軍隊にしたいと見える。安保法制改正準備や人事面で省の次官の下いた統合幕僚長を並列に引き上げることなどだが、それくらいなら内局次官など廃止して省全体を武官にすればいい。

しかし、功を急いでいるのかどうか、小手先の戦術でごまかそうとする発想は褒められない。ただでさえ複雑で中途半端な自衛隊が、法律家を自認する与党二人の弁護士出身の政治家の手で、益々混乱するばかりだろう。総理自身は約千年前に摂政の座にあった藤原道長のように「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と思っているかのようにも見える。確かにマスコミすら自家薬篭中のものにした今日、恐れるものは何一つないかもしれぬが「満つれば欠くる」も又世の習いだ。自重を進言する人間が居てほしい。

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