2014年11月8日土曜日

日中関係の前進

来週始まる北京APECに出席する安倍総理が、目出度く中国の習近平総書記と立ち話ではなく椅子に腰かけて対談が出来るようになった。これが日本における昨日のトップニュースである。安倍総理は予てより「条件付きなら会談する必要は無い」と力説してたが、谷内国家安全保障局長(こんな役職を知っている人はかなり政治オタクですよ)を何度も北京に行かせて、北京外交部の官僚に七重の膝を八重に折ったかどうか、対談するための条件を文書にして貰った。

何処のテレビでも丁寧な解説をしてくれているので、これを知らぬ人はいないだろう。国際会議に出席する我が国のトップが、主催国のトップに差しで「こんにちわ、いつも世話になっています。隣国ですからこれからも仲良くしましょうね。」これだけのことを言うために何でこんなバカ騒ぎをして、お膳立てをさせなきゃならないのか。先方が出している条件が別に引込められたわけでもない。こちらが、先方がつけてきた条件は無視することが出来た、と幾ら力説してもそうでないことは明らか。

飽く迄ホスト国だから、「礼を失しないようお会いしましょう。」だけのことだろう。帰国後になって、尖閣は我が国の領土で、靖国参拝をしないと約束した訳でないと力んでみたところで、中国は「そうですか、ならばお好きにどうぞ。」で、痛く痒くも無いだろう。

自民党が野党時代にさんざ反対していたTPP賛成に引っくり返る際、オバマ大統領からお墨付きをもらって喜んでいたことが思い出される。それにつけても、谷内氏が会って交渉したとされる楊潔チ国務委員は、外交部門のトップで中国では相当の大物とのこと。日本では大臣より格下の内閣府の局長クラスが交渉できる相手ではないので、表敬はしたかもしれぬが交渉なんかしている筈は無いそうだ。

それが証拠に、谷内氏と楊氏の会談についてはスチール写真すら発表されていないし、岸田外相は王毅外相(国務委員より格下)とその後で会談することになっている。と言う人もいるが、中国のテレビでも楊氏との会談で、と言っているのだから、中国側も日中会談をすることについてはトップが判断して、ゲスト国への配慮をしているのは間違いないだろう。「おもてなし」は日本の専売ではない。これを機会に我が国も中国といがみ合うのをいい加減にやめたらどうだろう。

そのためには具体的にどんな行動が必要かと言えば、当分靖国参拝をせず、尖閣についてことさら「我が国固有の領土」と言わないようにすればいいだけではないか。簡単すぎるくらい簡単なことだと思うのだが、誰もこんなことを言わないのが日本のマスコミである。

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