2014年8月17日日曜日

8月16日TBS「報道特集」で知った:ドイツ人の覚悟

嘘か真か知らぬがドイツ人は比較的親日的で、日本人もドイツが好きな人が多いと聞く。短い人生の為か、はたまたほかの理由があったのか定かでないが、残念ながらヨーロッパに行く機会が無かったし、又ヨーロッパ諸国の人と個人的に付き合う機会にも恵まれなかった。所詮は本や映画くらいからの知識が関の山なので、個人的に好きとか嫌いとかは言えない。何となく思うのは、子供の頃に憧れたカメラの「ライカ」が象徴する工業技術先進国であることぐらいだろう。これだけ国産自動車が進歩した現代でも、未だにドイツ製自動車の神話めいたものを信じている人も多いようだ。

更に特筆すべきはヒトラーに率いられたナチス党の存在で、それこそ子供の頃には、世界で最強の陸海空軍を要する軍事国家であり、日本は見倣わなくてはいけないと思っていた。講談社の絵本で、その偉人ぶりを何度も読んだのか読み聞かされたかした記憶がある。我ながら馬鹿な話であるが、子供の頃に刷り込まれたものは、拭い切るのになかなか手間が掛かるもののようで、学生時代碌に歴史も勉強せずにいたことと相俟って、就職試験の時に尊敬する人として「ナポレオン」と「ヒトラー」と書いた記憶がある。恥ずかしい限りである。

先の大戦時には同盟国だったこともあり、我が国では現在と同じで国を挙げて、即ち政府もマスコミ界も懸命に提灯をつけていたのだろう。ドイツに於ける敗戦の影響は、国家が4分(正確に言えば8分割らしい)されてしまったのだから、日本以上に悲惨であった可能性もある。その時点から40数年の歳月をかけて統一ドイツ国家を再建し、詳しいことは知らないので的が外れているかもしれぬが、現在メルケル首相が率いるドイツはヨーロッパ連合のリーダー的国家としての位置にあるように見える。

兎に角、事の善悪は別にしても、日本人には日本人特有の性格みたいものがあり、これを国柄と言うことにすれば、何処の国にもそれはあるだろう。ドイツ人の場合、何となく打たれ強くて頑固で几帳面なところが一つの特徴ではないかと勝手に思ったりしている。2度に亘る世界大戦での敗北にめげず、再軍備の挙句に現在では国連の要請でアフガニスタンにも兵を出して、戦死者数十名を出しながら、歯を食いしばって頑張っている(撤兵要求を出したとも聞いているので、或いは既に撤兵しているのかもしれない)。

事情に疎いのに下らぬことを長々書いてしまったが、ドイツ人の戦争とか軍隊に対する考えは我が国とは随分異なりそうである。誤解があってはいけないので敢えて書き添えるが、ドイツ人の考え方を全面的に肯定するつもりは全く無い。ではあるが、昨夜18時からTBS「報道特集」を見て、戦争に対する理解の程度(深さ)が全く異なっていることに気が付いた。どこが違うかと言えば、歴史的事実をドイツ人からすれば全く不都合なことを含め、国を挙げて直視することが当たり前になっていることである。

特にユダヤ人に対する迫害の事実を地域社会全体で隠そうとしていない(ユダヤ人迫害の痕跡を忘れないために、態々公園など人の目につきやすい場所に、当時のユダヤ人差別の告知看板のレプリカを以て明示したりしている)。もちろん子供たちに対しても、小学校教育の現場で、迫害を受けたユダヤ人を招き過去の事を強烈に印象付ける授業があり、番組の中心レポートになっている。番組の狙いは、沖縄竹富町の教科書選定に絡む政府の干渉を非難するものであった。

日本の現政府は特にその傾向が強いが、国家が国民に上にあることから、教科書は国家が下げ渡すものとの考えが強い(竹富町では文科省の意に沿わない教科書を選択したため、教科書に対する補助金を打ち切らている)。ドイツは教科書は教師たちが熟慮協議の上選ぶべきもので、いつまで持つか分からない政府が容喙する余地は全く無いようである。歴史の事実を直視することは言うは易いが、相当の覚悟が要りそうだと改めて思った。

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