2014年3月9日日曜日

自然災害への対応

明日10日は東京大空襲、明後日11日は東北大震災の日だ。前者は既に遠い過去の話で、経験談を語る生存者が年々少なくなっている。こう言っては不都合かもしれぬが、非戦闘員をターゲットとして攻撃することを大々的に始めたのは、先の大戦でのアメリカ軍からではないだろうか。この悪しき伝統が現代に引き継がれているのは極めて残念なことだが、こちらの方はテレビの情報系番組ではあまり取り上げない。

この週末のテレビは一様に東北地方特集であった。海岸地帯に積み上がっていたゴミの山は殆ど片づけられて平らになっているようだ。しかし復興への歩みは遅々として進んでいないのが現実らしい。未だに仮設住宅やその他に避難したままになっている人が30万人以上に上るとのこと。我が国は土地が個人所有だから、国が復興計画を作っても、全ての住民がそれに同意するなんてことはあり得ないだろう。国や自治体は公共施設に公道と公共輸送機関だけ整備して、後は個人責任でやってもらえばいいと思う。

「補助金を受け取るには国の指示に従わなくていけない」が官僚のきめ台詞だろう。それはそれで結構だが、国には建築基準など、既に様々な規制に溢れている筈。何も復興に関連して新たな規制を設ける必要は無いと思うが、そこがお役人の得意分野。何かあれば必ずと言っていいほど新たな法令、即ち規制めいたことを考え出しているに違いない。被災者をサポートするには、原則を早く定めて一刻も早く実行するに限る。3年経ても計画が纏まらないのは当たり前だろう。

詳しくは分からないが、計画が頓挫している最大の要因は、どうも海岸線の防潮対策にあるようだ。今朝テレビでチラッと見たのは岩手県の(旧田老町)宮古市田老地区のこと。昔から津波の被害に悩まされてきた地区で、江戸時代からの経験を教訓として、昭和に入ってから防潮対策に力を入れ、昭和41年には海面高さ10mで総延長総延長2.4キロメートルの巨大な防潮堤がX字型に市街を取り囲むように完成していた。避難訓練も度々行っていたし、全国でも津波対策では模範的な地区だったらしい。

それでも311の大津波には勝てず、地区の人口4434人のうち200人近い死者・行方不明者を出している。外野席にいる人間が言っては失礼かもしれぬが、自然災害に対して物理的手段を以て抗うのは所詮無理ではなかろうか。
3年前の津波は500キロメートルの幅で押し寄せたとされている。矢玉ではないのだから、自分の前にだけどんなに大きな盾を持ってきても、防ぎきれるものではないだろう。高い防潮堤によって生ずる妙な安心感、海面が見えなかったことによる津波発見の遅れ等、デメリットも少なくない筈だ。

国土省は膨大な建設予算を獲得できるので、造りたがる心理はよく分かる。百害とは言い過ぎだろうが、無駄遣いに思えてならぬ。海岸線は美しく、平穏であれば住むに相応しく思える時もあるに違いない。その代りリスクのあることも承知して、心構えを持つことが重要だろう。日本中どこを探しても、地震に対して100%安全なんて場所は無い筈だ。

マグニチュード7とか8とかの南海トラフ地震なるものが後30年以内に70%の確率で発生する。と唱えるのがこの手の番組の定番だが、これも変だろう。
30年間発生しなければ、以降は確立が上がるのかい?「巨大地震はいつどこで起きても不思議はありません。明日かもしれませんので皆さん心構えをお願いします。」と言うべきだと思うがな。

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