2013年10月24日木曜日

日本人の平均寿命

日本人の平均寿命が長いのは結構なことだ。しかし人生長く生きることだけが最終目標だろうか?

今朝のネットマガジン(日経ビジネスon line)の記事タイトル「老いのレッスン」が目についた。<欧米には、なぜ寝たきり老人がいないのか>と副題がついている。興味を覚えて読んでみると、スウェーデンでの取材記事になっている。かの国にも認知症老人は当然いる。老人介護施設もあるそうだが、寝たきり老人と胃ろうの患者は1人もいないとのことだ。母が93歳で亡くなったが、末期には食事が難儀になって、我々子供中ではこの胃ろうがテーマになっていたことを思いだす。幸か不幸か結局それ以前に亡くなったが。

続いてかの国の老人介護の施設に胃ろう患者が居なかった理由が記されている。
やや長くなるが引用させてもらう。

>その理由は、高齢あるいは、がんなどで終末期を迎えたら、口から食べられなくなるのは当たり前で、胃ろうや点滴などの人工栄養で延命を図ることは非倫理的であると、国民みんなが認識しているからでした。逆に、そんなことをするのは老人虐待という考え方さえあるそうです。ですから日本のように、高齢で口から食べられなくなったからといって胃ろうは作りませんし、点滴もしません。肺炎を起こしても抗生剤の注射もしません。内服投与のみです。したがって両手を拘束する必要もありません。つまり、多くの患者さんは、寝たきりになる前に亡くなっていました。寝たきり老人がいないのは当然でした。(読売新聞の医療サイト・yomiDr.宮本顕二氏の記事)<

この他に寝たきり老人が少ない理由として、生活様式の布団とベッドの違いとか日本の社会インフラが高齢者への配慮に不足があるとかいくつか指摘されている。中で改めて気づかされたことが、日本人の年寄りに対する気持ちの問題があるそうだ。年寄りを大事する、年寄りも若い人に遠慮するという道徳的な日本のあり方は貴重な価値観かもしれない。この価値観に基づく精神的プレッシャーが、年寄りは安静にして寝ていてくれるのが一番との傾向に結びついている。

これがそもそも寝たきり老人を増やす大きな一因となっているばかりでなく、介護する側にも大きな精神的負担を強いていると指摘している。価値観の相違だけではないかもしれぬが、欧米では脳卒中や骨折で入院する年寄りの入院日数が日本に比べると格段に短いようである。以下も引用であるがこう書いてある。

>欧米では治療が終われば患者はすぐリハビリセンターへ送られる。高齢者の平均入院日数はデンマークの場合32日、それに対して日本では高齢入院者の48%が6カ月以上も入院する。その結果、長い入院日数がかえって筋力の衰えや頭のボケを助長しているかもしれないのです。何とも皮肉な結果ではありませんか。<

日本人よりほんの数年平均寿命が短いとされている欧米では、老人が寝たきりになる前に亡くなっているようだ。そう遠くない時期にその年代に入る身としては、家族を含めよくよく考えたい問題である。たまたま昨日91歳になる叔母から便りを貰ったり、89歳の義母のことが話題になった。お二人とも一人暮らしで元気に暮らしている。一見親不孝に見えるかもしれないが、互いの為にベストな環境かもしれない。

2 件のコメント:

don koba さんのコメント...

己にも差し迫っている終末対処の問題でもあり、悩ましい話題ですね。

senkawa爺 さんのコメント...

don kobaさん
引き続きコメントを頂きありがとうございます。
仰る通り差し迫りつつある問題です。
命に未練もあり、ボケてしまえば自分では判断できなくなってしまうのでしょうが、高いお金を掛けて胃ろうとか様々な医療措置はしてもらいたくないですね。
個人的にも国家社会的に見ても、無駄遣い以外の何者でもないように思います。
母はお腹に穴を開けられる前に亡くなり、本人にとってもハッピーだったと思います。