2013年9月15日日曜日

懐かしい言葉

台風18号が本州に接近しているようで朝から雷と土砂降り、昼過ぎには一旦晴れはしたがかなり不安定な天気となった。明日が本番で、その後に秋本番が来るとすれば、そっちは待ち遠しい気もある。東京方面への直撃予想は久し振りらしく、普段使っていない2階の雨戸を建てに行った婆さんが「久しぶりなので、なかなか上手くいかなかった。」とこぼしていた。なんて言っても風通しが良すぎる老朽家屋なので、被害を被らないこと祈るしかない。

月に叢雲の喩えではないが、中秋の名月の前後には台風がある。日本の四季は本当に良くしたもので、温暖な気候の割には自然災害が毎年のように何処かにやってくる。日本人の勤勉性はこの自然環境に育まれているのだろう。酷寒酷暑もどこかで変化して穏やかな日が戻るが、一筋縄ではいかない。毎日すべきことを几帳面に積み上げ、そんな災害にあった時は諦めて、翌年に向けてゼロからやり直す。災難災害に遭遇する可能性は常にあるので、代替手段を含め最低の備えだけは心掛ける。

大自然を克服したり、抗って封じ込めることはあまり考えない。日本人が積み上げてきた文化の根底には、全てこの自然観であるような気がする。禍福は糾える縄の如しで、福に恵まれたからと言って余り極端に溜め込んでも仕方がない。多少の不幸にもそんなにめげない。小椋佳作詞作曲:美空ひばりの名曲「愛燦々」を聞くたびに、一寸異人さんには分かり難い歌ではないかななんて勝手に思っている。度々書いているが諦めが早いのは個人的なことで、褒められたことではないかもしらぬが、子や孫まではどうもDNAが繋がっていそうだ。

どこの家庭もこんな考えでいたら、日本の素晴らしい経済成長は無かったろう。勤勉性とか不撓不屈の精神に恵まれた家庭の方が多いからこそ、我々凡人もその余慶に与って暮らしていることは間違いない。東京に居れば1日で日本の果てまで行くことも可能だし、水汲みの必要もなければ薪炭はおろかマッチも付け木も要らない生活を半世紀前に誰が想像しただろうか。いや、ちょっと待てよ。半世紀前と言えば東京オリンピックの前の年だ。既に大学は卒業して就職していた。

もうその時、冬は電気炬燵だったから、薪炭は一般家庭では不要になっていたかもしれぬ。でも風呂屋は廃材を燃やしていたし、微妙な時代だったのだろう。オリンピックで高度成長の波に乗ったのではない。高度成長が先にあって、その一つの要素にオリンピックが華々しく開催されたのだ。今朝漫画家の黒鉄ヒロシ氏がテレビで語っていた。言われてみるとその通りだと思う。因みに彼は小生より5歳も下である。歴史は時代の証人が居なくなるとともに変化するのだろう。

オリンピック招致決定を受けて「今日は日本の歴史的な日です」と自画自慢の都知事さんを見て、複雑な思いの人も多いことだろう。誰かは忘れたが「前回の東京オリンピックには日本人のプライドが掛かっていた。間違ってもこれで何億円儲かるなんて言う奴は一人もいなかった。」そうだ。『日本人のプライド』懐かしい言葉だ。

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