2013年8月17日土曜日

平和と安保

最近時々変な違和感を感じる。これまで住んでいた日本国とは明らかに異次元の世界に放り込まれた感に襲われることがある。住んでいる住所は日本の首都のど真ん中で、行き交う顔も皆お馴染みではあるが。テレビ新聞で政府の打ち出す方針などをたまに見聞した時、そう言った感じに襲われることがある。政府は昨年暮れ発足したばかりだが、日本国憲法に基づく正当な選挙の結果そうなった訳だから、違和感を抱く方がおかしいかもしれぬ。

とは言っても、前のエジプト大統領モルシさんも正当な選挙で選ばれたにも拘らず、数か月でクーデターが起きて、大統領の座から引き摺り下ろされてしまった。なんでもイスラム経典に忠実な政策を矢継ぎ早に打ち出した為らしい。選挙で示された国民の意思と選ばれた方の意思との齟齬が顕著だった例だろう。エジプトの選挙制度が如何なるものか知らぬが、日本の場合は選挙公約があるのでそんなことにはならぬ筈だ。

と信じているが、自民党の公約をじっくり検討もしていないので少し不安になってくる。経済政策については自ら異次元と称していたくらいだから、違和感を感じても不思議ではないが、経済は全くの音痴で何を聞いても違和感なんか起きようはずもないし、内閣自身が自認するので、「そうですか」程度のことだ。

問題はもっと根源的なところにある。現内閣が見据える方向性で、これは明らかに戦後68年、先人が営々と築いてきた平和路線を換えようとしていることが明らかになりつつある。今にして思えば、安倍総理は前々から「戦後レジームからの脱却」と仰っていた。しかしこれが、総理ご自身のご先祖様や自民党の先輩諸氏が苦労に苦労を重ねて守り続けてきた「平和」と「非戦」を根底から覆すとは夢にも思っていなかった。

びっくりする方がおかしいし、勿論公約違反でも何でもない。総理は己の信念に基づき、その実現を目指して陣営を固め、正々堂々歩を進めているのであろう。しかしびっくりしたのは事実で、世代がそんなに違わないから思考回路に大した差があるまいと考えたのが大間違いだった。中には同世代の人間にも、「安保法制懇」なる安倍氏の考えにお墨付きを与える諮問機関のメンバーになってヨイショをしている向きもある。

何がどうして急にこんなことになったか不思議で仕方ないのだが、世の中にこんなに戦争好きが多いとはびっくりする。極端なことを言えば緑に包まれていた「日本」が、急に茫漠たる砂漠の中に移転させられた思いなのである。余命が短いことを感謝するが、子や孫たちは一体どうなるのだろうか?話し合ったことも無いが、我が家に戦争好きのDNAがあるとは思えない。まして世の中の動きをリードできるほどの資質も無い。平凡に世の中の流れに沿って生きていくだけだろう。不幸にならぬことを祈るばかりだ。

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