2013年6月4日火曜日

無理筋でないことを祈る

囲碁をしていてしょっちゅう思うことに「勝手読み」がある。囲碁は相手と一手ずつ交互に石を置いていくゲームである。盤面はご承知の通り1尺前後の板に縦横19本の線が引かれているだけのこと。これまで置いた石は動かせないから、敵味方双方の配置は隠しようがない。自分に手番が回った時、石を置く前に、その次の相手の1手を想像しなければならない。ところが往々にして自分の想像と全く異なる位置に石を置かれて「ア、」と言っても時すでに遅しで、その場で「投了」(試合放棄)なんてことが小生クラスの笊碁ではよくあることだ。

問題は着手する前の想像力の問題である。要するに己に都合よく考えて考えてしまうので「勝手読み」と言われている。これが続く限り碁は強くならない。「下手な考え休むに似たり」なんてことも言われているくらいで、勝手読みするくらいなら、「第一感で思い浮かんだ着手を選ぶ方が益し」と教えてもらったことがあるくらいだ。もう一つ重要なのは「欲ボケしない」こと。囲碁は「地の取りあいゲーム」一寸説明が難しいが、相手に何も与えずとは言わないまでも、圧倒的に得しそうな着手は「無理筋」と言って、実力に大差が無い限り碌な結果を生まない。

世の中には「勝手読み」や「無理筋」を押し通そうする人の何と多いことか。黒田日銀総裁の読みも「勝手読み」でないこと祈りたい。囲碁の格言には無いが、子供の頃使った「いろはかるた」に「無理が通れば道理が引っ込む」なんて札があったことを想いだしてしまった。一寸不吉な感じだな。

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