2012年12月7日金曜日

読後感「デフレの真犯人」北野一著

読んでも分からないくせに経済関係の書物にまたまた手を出してしまった。預貯金も殆ど無くて、デフレを心配するのも漫画チックだと自分でも思う。案の定、内容については消化不良もいいところだが、アリバイ作りで一応何か書きたい。

先ず著者の職業は所謂経済学者ではない。JPモルガン証券株式調査部の日本株ストラテジストと紹介されている。会社自体は日本の会社らしいが、どんな職業か想像がつかなかった。投資家に損をさせないようアドバイスするコンサルタントのようだ。勿論実務経験もある。

いきなり結論を書くが、著者にも真犯人は分からないようだ。従ってデフレ脱出の妙手は当分見つからないことになるのだろう。非常にざっくりと犯人臭い奴を一人あげるとアメリカ経済かもしれない。「アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひく、アメリカが風邪を引けば日本は肺炎」はかなり前から知られた喩えではないか。

この本を手にしたきっかけは著者が「安倍自民党総裁の金融政策は正しいのか」という問いに対して寄せた一文を読んだことにある。同じ質問に数名の経済学者が答えているが、多くの回答はやや否定的だ。しかし誰もが、「それでも正しいと言えることに繋がる可能性は否定できない」とまるで蛇かミミズか分からない回答をしている。

著者の北野氏はこの質問に対して一切回答をしていない。そして日銀の金融政策がここに来て報道でクローズアップされていることに疑問を投げかけ、本書を読んでくださいと宣伝をぶちかまし、その宣伝にうっかり乗せられてしまったのである。結論的には、円高やデフレの責任を日銀に押し付けても始まらないとのことだろうが、そりゃそうだろう。問題は誰が解決策を持っているかだが、それは特定されていない。

要は、解決策なんて無いのではと思えてくる。代わりに少し分かったこともある。先ずデフレの対語になっているインフレの意味である。これが意外に重要で、日本のインフレ率が常にアメリカのインフレ率-2%になっていること。因果関係は別にして事実が継続している。故に先ほど書いたように日本のデフレ脱却はアメリカ経済次第となってしまわざるを得ない。

もう一点言うと輸出産業が苦しんでいるとされる円高の問題である。実質実効円相場で見ると現在の80円も2001年の125円も同等になること。マスコミが大騒ぎするほど誰も困っていないのかもしれない。公定歩合や国債金利にインフレ率やら難しい計算式が沢山出てくるが、皆すっとばして感想を書けば、思った通りで騒ぐほどのことではない。


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