2012年10月4日木曜日

文明とは?

2週連続で台風の直撃かと心配したが、幸い都心は大したことも無く、壊れ雨戸を引き出す心配をしなくて済んだようだ。今朝は台風一過の秋晴れ、天気は人間の気持ちに大きな影響を与えるようだ。昨日はブログを書く気も起きなかったのが、今日は朝からパソコンに向かう気持ちが湧いてくるから不思議なものだ。

昔かれこれ20年以上前になると思うが、パソコンが流行り初めで、当方としては遅ればせにワープロを買おうかどうか迷っていた頃のことだ。通産省との会議で、若手の技術系キャリア官僚がノートパソコン片手に現れた。メモを取る代わりにパソコンのキーボードを叩くのを見て、感心すると同時に不思議な感覚を覚えたのを記憶している。

当時役所の机の上は書類と紙封筒、風呂敷包みの山で、山が大きい人ほど仕事が多いと思っていた。また、霞が関官僚の特技と感心したのが、彼らのメモを取る速さだ。学生時代に勉強をしなかったせいもあるのだろうが、当時も今も人の話を聞きながらどうしてもメモを取ることができない。大事と思った事は会社に帰ってその日のうちに、記憶を頼りに日記みたいメモを書く。

高々数時間以内のことだから、その場のメモは要らぬだろうと勝手に理屈をつけていたが、そんなことはない。おそらく人一倍頭が悪いと言うか記憶力の無い小生のことだ。雑駁な職業であったから間に合って今日に至ったが、どう考えても緻密な折衝が必要な世界では通用する筈も無い。未だに拭いきれない劣等感から話が横道にそれてしまった。

あれから20年ほどか、今や官僚はおろか物書きが商売の新聞記者の果てまでノートパソコンをメモ代わりにしているみたいだ。小生ですら毎日ポツンポツンとキーボードを操作するのだから、想像するに机に向かって事務をする者で筆記メモを取る職業人はいないのではとさえ思えてくる。暮らしの中で世の中の変化にはなかなか気が付きにくいが、改めて考えると実に大きいものがある。

恐らく変化のスピードは過去から未来に向けて幾何級数的にアップしていくに違いない。同時に人間の能力の何かが反比例して劣化していくのもやむを得ない事なのだろう。子供の頃に見た漫画に将来の人間像があり、頭だけが馬鹿でかく身体が極端に小さくなっていたのを記憶している。僅か数十年であるが、様々な世相を思うと果たしてそうであろうか?

残されている遺跡から類推しても、数千年前の人類の叡智は現代人に匹敵すると聞く。遠くエジプトや中国の歴史を検証・比較するまでもなく、てっとり早く日本の江戸時代・明治時代の先祖と比較するだけでも、身体より脳みその劣化の方が心配になってくる。

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