2012年8月31日金曜日

企業の寿命 がんばれニッポン

嘗て堺屋太一氏が企業の寿命30年説を唱えていた事がある。内容を正確に覚えているわけではないが、大抵の企業は創業から30年もすれば衰退が始まるので、就職する際は今人気の企業より、自分が好きになれそうな職種と企業を選べと言う説だったような気がする。その時はピンとこなかったが、企業の栄枯盛衰はもはや30年と言っていられないようだ。

法則的なものを当てはめるのは難しいと思うが、企業も人間と同じで長生きする企業もあれば短命に終わる企業があるだろう。創業は江戸時代はおろか鎌倉時代と言う話さえ聞いた事がある。確か宮大工さんの会社だったかな。きっと刀鍛冶とか指物師の店なんかも探せば古いところは沢山あるだろう。それはそれで目出度い限りだが、振り向けば己の会社なんかも丁度10年で廃業を迎えた。

自分では5年持てば御の字と思っていたので、これもある意味では望外の長生きと言うことにしよう。昨日から書こうと思っていたのは、家電メーカーシャープに関連してのことだ。何でも主力製品のテレビが韓国製品などの台頭に押されて業績が悪化、台湾にある下請け専門企業の支援を受けなくてはならなくなっているとのことである。シャープ製品を買った事はないが、1970年大阪千里山の万博に出展せずに亀山に工場を建てて、経営判断の健全性と先見性を賞賛されたのが印象深い。

その数年後小生も大阪勤務になってシャープには何度も足を運んだ。こちらの商売のネタが「広告」即ちインチキ臭いものなので、断られる度に上記の合理的判断を思い知らされたものだ。そのシャープでさえ今日の窮状を迎えている。そして同様の問題はシャープだけには留まらない。当時広告クライアントの頂点で眩しいぐらいに勢いを誇っていた松下電器産業(現在のパナソニック)ですら、似たような状況にあるようで、ものづくり日本全体が凋落傾向と報ぜられている。

何故起きるのか理解できない為替変動とやらで、このところ円高が続き、輸出で成長してきた企業にとっては皆苦しい局面らしい。それでも普通の企業経営者は政治家とは違い、環境の変化に対応して克服する術を日夜必死に模索しているだろう。だから「ものづくり」に限らず日本の企業と日本の経済は、そう簡単に潰れることはないと信じたい。自動車にせよ家電にせよ同業の多企業が存在する国は珍しいらしい。

最近の傾向で企業が苦しくなると、すぐに海外からの投資話が出てくるのが気になる。産業政策を牽引してきた役所が弱体化していることもあるらしいが、台湾あたりの下請け成金に縋ることなく、ここは国内で協力し合うなりして新しい方向に引っ張る人間なり企業ががでてきてほしい。国益云々をよく聞くが、政治家が大声を上げる国益のピントは全く外れている。

2 件のコメント:

Don Koba さんのコメント...

万博に出展しても、生き延びている企業が多いので、シャープが亀山工場を建設したことが健全経営だと評価していた人も今となれば立場が苦しいね。かつて輝いていた日本の家電企業は、今、韓国企業の後塵を拝する始末。何が違うのか?やはり経営判断のスピードが違っていたのでは?竹島の帰属を説明するパンフを35万部作り世界に配布したと今日のニュース。日本政府にしては早い行動だと思ったら、韓国政府だった。日本外務省は、まだ中身を検討している段階なのだろうか。そうこうしている内に政争だ。誰も責任を最後までとらない日本の政治システムだからしょうがない。外国投資の促進も、韓国政府の対応はスピードが違う。世界主要国の中で日本の外資導入割合は長年最低レベルだ。大学の国際化でも日本の低迷は目に余る。グローバル化が進む世界では、好悪に関係なく、うまく対応していかない限り、先は暗い。幕末、「朕は毛唐がきらいじゃ」と条約勅許を渋った孝明天皇的なスタンスは駄目。サムスンはアップルと世界で法廷闘争を繰り広げている。トヨタの社長が米議会で泣いて訴えていた姿との違いが目立つ。

senkawa爺 さんのコメント...

Don Kobaさん
いつもありがとうございます。
もう本当に訳の分からない世の中で、考えても頭が混乱するばかりです。栄枯盛衰は世の習いとは申せ、子や孫たちのことを思うと少し心配にもなりますが、先に旅立てることを幸せに感ずるのみです。