2012年7月26日木曜日

身を捨ててこそ浮かぶ瀬も

山旅から爽やかな気分で帰ってきたと言うのに、昨日は前の仕事の関係で嫌な話を聞く羽目になってしまった。新社長が言ってきたのは得意先の新担当役員が「コストダウンをせい!」と大号令をかけているので協力してほしい、とよくある話だ。そもそも我が社の仕事は全て人件費みたいものだから、値下げの限界は有って無いのと同然。二言目には、「協力してくれないなら見積りの競争入札をするしかない。」も決まり文句みたいなもの。

ソフトの世界だから、見積り競争をすれば1円で入札する会社だって無きにしもだろう。社長を譲って3年目、何とか新社長に長く会社を継続してほしいと願っていたが、当初の経緯を知る人も皆いなくなってしまい、今は只コストダウンの話ばかり。起業者としては残念だが会社の命運が完全に尽きたみたいだ。自分は既に給料を取っていないのでどうでもいいが、社長になってもらった青年は気の毒だ。

なんとか出来るだけの面倒は見たいが、持ち出す資金の財源は知れている。青年社長は性格が良いので、クライアントから言われるとズルズルと値下げをしてしまいそうだ。仕事の確保を考えれば、それも一つの生き方だろう。最終の判断は彼に任せるが、小生にはそれが出来ない。商売は互いに対価を支払い或いは受け取る違いこそあれ、立場的にはフラットでなくてはいけないと思っている。払う方が偉くて、受ける方が常に言う事を聞かなければならないものではないだろう。

若い時からこれだけは信念として持ってきた。むしろ顧客(施主・注文主)より仕事をする協力者を大事にしてきたので、仕事を失ったり、会社を辞めざるを得なくなったこともある。だから昨日は青年社長に「乞食じゃないんだから、安めの仕事なんか受けずに入札でも何でもしてもらえ。結果的に仕事は無くなるけれど仕方があるまい。」と無責任な檄を飛ばしてしまった。若い青年には技術があるのだから、一時仕事が無くなれば数日腹は減っても死にはしない。

そこにいくと、何となく組織の中を上からぶら下がっている紐にしがみつき、へいこらと泳いできた年寄りは始末に負えない。上の方から一発かませば、直ぐ手の平が返るのは分かっているが、今更そんな事までする必要さえ感じなくなってしまった。個人的な生活など伺い知る由もないが、哀れな奴よと思うだけだ。

面白いもので、今日突然全く別の筋から電話が来て仕事を手伝ってほしいとの話だ。明日以降何が起きるか分からないが、72歳にしてまた一つ新しい山を発見することにもなりかねない。期待が膨らむよ。

2 件のコメント:

トパーズ さんのコメント...

仕事をするのが難しい時代になりました。
しかし、捨てる神あれば、拾う神あり。
爺さんの期待どおりに事が運ぶと宜しいですね。

senkawa爺 さんのコメント...

トパーズさん
ありがとうございます。
レスが遅くなりまして済みません。