2012年7月4日水曜日

父の血筋

日を追って人間関係がどんどん希薄になっている。仕事から離れたせいもあり、口をきくのは朝夕食事時の家内との会話だけと言いう日が多くなっている。こうやって一人でPCに向かっていると父の事を思い出した。父は晩年(ほぼ現在の自分と同じ年頃だった)勤めを終えると、弁護士を開業した。開業と言っても弁護士登録をしただけで、仕事なんか何も無い筈だ。

自分の現状と併せ考えるに、親子故に少し似ていると思うところがある。それは、家の裏庭に小さな小屋を建てて事務所としたことだ。仕事は当然無かったろうが開業の証しとしたかったのだろうか。いや、濡れ落ち葉にはなりたくなかったのだろう。少なくとも小生はそう思っているし、家内も母も望むところだったのでは。

父は日中の大部分をその部屋に閉じ籠って読書などしていたらしい。現在の自分は庭が無いのも同然だから小屋を建てる訳にいかないので、近くに小屋を借りて昼間はそこに籠っている。父との会話は生涯を通じてもそんなに多くはないので、どんな気持ちでいたかは知らない。でも父も今の自分と同じような気分でいたのではなかろうかと勝手に想像している。

平たく言えば余り思うことはないのだ。女房子供についてはもうすべき事をした。少し心配なのは孫の行く末かもしれないが、心配したところでどうなるものでもない。過去を思っても、特別思い出すほどのことは何もない。明日の自分は今日と同じで、ルーティン通り生きるだけ。そんな事を思ううちに眠くなるので、腰かけたままうたた寝をしてしまう。楽しみはパソコンやテレビがあるだけ今の小生の方が多いだろう。

たまに古い友人と会って酒を飲むのが唯一の楽しみだったのは一緒だが、小生と異なり晩酌も相当な年齢まで続けていた。80歳を過ぎた頃からは日本酒を1合ぐらいにしていたようだ。帰郷してよく聞いたのは「友人が少なくなってきていて寂しいが、自分は友人全てを冥途に送って最後に旅立つことしたい。」92才で亡くなったが、確かに友人と聞いていた人は全て先に亡くなっていた。

思えば父は偉いものだ、現在の自分の頃からまた一つの人生を開いたのだから。似ている点を思い血筋に思いを致したが、とても真似できそうにない。

6 件のコメント:

geotech さんのコメント...

しみじみとした心境ですねえ。
血は争えない。どこか似ているものですね。
今になって父上の偉大さを思うのも、
爺さんこそ、頑張ってこられたからでしょう。

senkawa爺 さんのコメント...

geotechさん
コメントありがとうございます。
不肖の倅を恥じております。

中chan さんのコメント...

『濡れ落ち葉』という気の利いた言葉を拝見しましたので
個人的な勉強のため解説等を探してみました。(中Chan)

http://zokugo-dict.com/23nu/nureochiba.htm

『濡れ落ち葉』の解説

濡れ落ち葉とは定年退職後の夫のことで、仕事人間だった夫が家では邪魔な存在であることを表現した言葉である。濡れ落ち葉という比喩が出てくるまでは『粗大ゴミ』などと表現されていたが、それに比べると若干キレイな(遠まわしな)言い方なので好まれているようである。
定年後の夫がなぜ濡れ落ち葉なのか?これは妻が出かけようとすると「わしもついて行く」と言い、どこにでもついてくる様が払っても払ってもなかなか落ちない濡れた落ち葉に似ているからで、ある主婦がしたこの発言を評論家の樋口恵子が聞き紹介。それが広がる中で濡れ落ち葉という言葉で定着した。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%A1%E3%82%8C%E8%90%BD%E3%81%A1%E8%91%89
濡れ落ち葉(ウィキペディア)

濡れ落ち葉(ぬれおちば)とは

1.濡れた落ち葉
2.上記の「払っても払ってもなかなか離れない」様子から転じて、主に定年退職後の夫が、特に趣味もないために、妻が出かけようとすると必ず「ワシも(付いて行く)」と言って、どこにでも付いて来る様子を指すようになった。「濡れ落ち葉症候群」とも言う。またそのような「妻にべったりの夫」そのものを指すこともある。後者の場合は「濡れ落ち葉族」と呼ばれることもある。

解説
評論家・樋口恵子が、あるシンポジウムで伝聞として聞いたものを紹介した[1]ことで広まり、1989年の流行語大賞新語部門・表現賞を受賞した[2]。なお、樋口が耳にしたのは「近ごろは、粗大ゴミではなく『濡れた落ち葉』と言うのですって」であり、当初は樋口も「濡れ落ち葉」ではなく「濡れた落ち葉」と「た」の入った状態で紹介していた[1]。

類義語
粗大ゴミ
「濡れ落ち葉族」とほぼ同義だが、休日に家でゴロゴロしている夫に対して用いられることもある。1981年、評論家の樋口恵子が毎日新聞に寄稿した論文の中で使用したことで広まったが、樋口本人が考えた表現ではなく、伝聞で聞いた表現を紹介したものである。


★「粗大ゴミ」「濡れ落ち葉」共に発信元は樋口恵子らしい。
★「産業廃棄物」の発信元は上野千鶴子とのこと。
  (中Chan)

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樋口恵子(ウィキペディア)
人物
「定年夫は産業廃棄物(粗大ゴミ、濡れ落葉とも)」と表現して批判される。

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20120629/ecn1206290750004-n1.htm

定年後の亭主…実は“産業廃棄物”扱い2012.06.29

=前半略=女房族は「亭主元気で留守がいい」とのたまう。
ベストセラー『おひとりさまの老後』(法研)で知られる
社会学者の上野千鶴子氏は、定年後の亭主は「産業廃棄物」
でしかないと切り捨てた。
「粗大生ゴミ」も嫌な言葉だけど、いくらなんでも
「産業廃棄物」呼ばわりはあんまりである。・・以下省略

大宮知信 ノンフィクション・ライタ-
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senkawa爺 さんのコメント...

中chanさん
お久しぶりです。お元気ですか?
私は一応元気にしていますが、仕事から離れましたので環境がだいぶ変わりました。事務所を来年3月まで確保していますので、ここまでは毎日出かけるスタイルを維持できるのですが、それ以降が問題で悩んでいます。

中Chan さんのコメント...

私も、3月末の企業訪問、4月末締め切りの報告書作りで、概ね最後の仕事は終了で、7月末まで単発的な後始末の時期にあります。

まだ、締め切りに追われている様な気持ちが抜けない
のですが、サンデー毎日の楽しみを積極的に開拓したいものです。

「人間暇になると、行く末や碌な事を考えないので、適当な気晴らし(暇つぶし)を見つけるべし。」
「人生は、遊びも、仕事も気晴らしに過ぎない。」
より・・ヘクトパカルで身近な天才(科学者、哲学者、宗教家)

当方、仕事を外した通いの趣味は、カルチャーセンターでの音楽講座の月1受講と、週1のスポーツセンターでの社交ダンス教室なので、それらを軸に、家にあってはTVの放送大学、Eテレの視聴などで好奇心を満足させたいです。

地球に全球凍結の歴史が3回あったとの証拠が見つかったとか、今回200年目にして植物光合成の構造発見や、ノーベル章根岸博士の人工光合成のプロジェクトの「石油代替と食料」を一挙に解決する技術挑戦など、TVも純粋に小学生に戻った様に好奇心を駆り立ててくれます。

仕事がないのだから、洗濯物干し、ゴミだしの担務の他は、冥土への備えとして、生涯学習の小中学生に戻れれば、これもいいなと思っています。

隠居らしく、毎日般若心経を唱え、散歩をしながら仏教、仏性に触れることも必要かも。

ただし、まだしっかり日々の行動パターンに組み込まれていないのが難点です。

中Chan さんのコメント...

前記返信にて、出典もれで済みません。

「人間暇になると、行く末や碌な事を考えないので、
適当な気晴らし(暇つぶし)を見つけるべし。」
「人生は、遊びも、仕事も気晴らしに過ぎない。」
 『パスカル“パンセ”6月Eテレ』より

・・ヘクトパカルで身近な天才(科学者、哲学者、宗教家)

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関連のWEBブログなど

http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/13_pensee/index.html
2012年6月 (100分 de 名著)パスカル『パンセ』

視聴者のブログ例
http://ameblo.jp/kurara0831/entry-11283351037.html
某税理士殿
「100分de名著パスカル“パンセ”」2012-06-21
http://blog.livedoor.jp/oshiro_komorebi/archives/1481855.html
某医師殿『パンセ』と死
『100分de名著』同第3回を解説