2012年4月27日金曜日

マスメディアの心得違い

このところ見たくもないニュースが多くてテレビを見るのが苦痛でさえある。亀岡市の交通大参事なんか、あれほどまでしつこく何度も手を替え品を替えた映像を全国に流す意味がどれほどあるのか、この場合に限らないが、近年テレビ局が通夜や葬儀を平気で放送する。取材を受けてコメントする人がいるから取材をしているのだろう。縁故ゆかりの人が集まり厳粛に執り行われるのが葬儀で、関係ない人はできるだけ邪魔にならぬよう遠回りしてでも避けたものではなかったろうか。マスコミが葬儀に関心を持つ理由が全く分からない。

ついでに政治関係について言えば、最近はやたらに特定議員のぶら下がり取材映像が目につく。大した政治案件でもなく、単なる政局的駆け引きのお先棒を担ぐような取材をして、社会の木鐸になったつもりとすれば、とんでもない心得違いだ。昨日なんぞはこれのオンパレード。政治家は蝿の群れのような記者に取り巻かれると嬉しいのだろうが、視聴者からしたらどれほどの意味があるのだろう。客観的かつ公正な報道をしてますよとの心算だろうが、蛇かミミズか判別し難い報道は迷惑な話だ。

何度も書いているが、むしろメディアは公正か否かの判断は受け手に委ね、取材先をきちんと明示したうえで、己の信ずる見解を堂々と発表すべきだ。
日本のマスメディアに調査取材が根付いていないのは世界的に有名らしい。本当に恥ずかしいことではないか。読後感はアップしなかったが、先日「国家の闇」(一橋文哉著)を読んだ。ここには一時大騒ぎになったものの、真相が分からないままうやむやになった事件が幾つも記されている。この著者一橋文哉は、一ツ橋にある毎日新聞のブンヤ即ち記者の変名と言うかペンネームらしい。

警察庁長官狙撃事件とかロッキード事件や金丸事件の疑獄事件の系譜とかライブドア事件とかグリコ事件などが取り上げられている。何れも大騒ぎだった割に迷宮入りになったり、ことの本質がはぐらかされて忘れられかけているものだ。世の中に表と裏があり、裏にはブンヤと言えど簡単には踏み込めないでいるらしい。言ってみれば我が国のメディアの限界を自ら告白しているとも言える。昨日の小沢検審裁判についての報道をみても、殆どが非常に中途半端「判決は限りなくクロに近いグレー」との論調で埋め尽くされている。

沖縄タイムズか琉球新報だけが、組織としての検察が厳しく問われていることを重く受け止めるべきと報じたらしい。(本日の自由報道協会 佐藤優記者会見から)裁判所の判決にグレーがあるなんて、まともな大人が言うべき事ではないだろう。小沢氏が虚偽記載を「よし、その線で行け」と明確に指示していると思うなら、それこそ徹底的な調査をすればいいだけの事だ。そういった努力をなにもせずに、グレー判決なんて日本語として成立しえない言を弄するのはジャーナリスト失格と言うべきだろう。

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