2011年10月14日金曜日

読後感「悪党小沢一郎に仕えて」石川知裕著

現役議員の書いた本なんかどうせ自己宣伝のものしかないし、まして刑事被告人の身であれば自己弁護に終始しているに違いあるまいと勝手に決め込んで、読むのが随分遅くなってしまった。読み終わって、自分の思い込みが相当間違っていたかもしれないと思っている。どこかの書評に「小沢一郎の悪口までを書いているところが面白い」とあったので読んでみたのだが、悪口と言うのも的外れだろう。

確かに、文中多くの現役政治家が登場する。大概の場合先生と敬称が付けられているが、小沢氏だけは「小沢」と呼び捨てで書かれている。呼び捨て、さん付け、そして先生と名前の書き方一つだけでも、著者の意図するところが明確で面白い。小泉前総理や菅前総理については、どうしても先生と呼びたくないのだろう。

本書を上梓するに至る著者の真意は明らかではないが、少なくとも有権者に対する自己弁護ではないと思う。思うに今も止み難い小沢一郎への讃歌、応援歌になっている。と言ってもヨイショばかりでなく、著者から見た小沢氏の欠点もかなり赤裸々に書かれている。小沢の許可は勿論無いだろうし、ひょっとしたら校閲も受けていないかもしれない。

小沢にはそんな暇が無いか、ものぐさか、悪口なんか本当に気しないのか、あるいはその全部かもしれない。その代りに側近が、この本について言えば先輩の樋高剛議員あたりがしっかりと目配りをするシステムが構築されているようでもある。それこそ裁判にも関係してくることにはなると思うが、小沢と秘書との関係は少し風変りと言いうか、小生の思い込みとはかなり異なっているようだ。

勿論絶対君主として自分の思想を徹底的に叩き込む教育はするし、仕事の評価も厳しいらしい。それは飽く迄も自分のスタッフを育成するためで、子分を増やそうとの意図とは少し異質であるようだ。まして秘書から子飼いの議員を増やす意図は無いらしい。議員になりたいなら小沢秘書は却って遠回りでさえあるように書かれている。事実秘書上がりの議員であっても、小沢から離れてしまった人間は沢山いるらしい。

小沢についてはいろんな人がいろんな事を言うが、少なくとも20年以上そば近く仕えてきた人間が描くのだから、へえーと思うことが沢山出てくる。彼を知るうえで参考になるのは間違いない。小沢が女性に弱い(甘い)と言うのも面白い。偏見を以て読もうが、何も知らずに読もうが、何れにしても面白い本でお薦めに値する。





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