2011年10月13日木曜日

喉元過ぎればでいいのか

東京都世田谷でホットスポットの確認、2.7マイクロシーベルト/時間、昨日の報道である。同時に横浜でもストロンチュームやセシュームが確認されている。この報道に接した昨日、世田谷に住む娘と孫が我が家に来ていた。以下は娘が話した先週の事。

「先日近くの公園の砂場でこの子を遊ばせていたら、丁度通り合わせたトイレ掃除の小父さんに注意されてしまった。」
「奥さん、息子さんをここで遊ばせちゃまずいよ。」
「私は息子がその小父さんの持っているホースを両手掴んで喜んでいる方が余程怖かった。放射性物質はその辺に蔓延しているのだから、もう仕方ないよ。」要するに、娘は身近に放射能があるかもしれないが、無視するしか仕方がないと思っているらしい。

慣れと言うのは恐ろしいものだ。福島の原発から200kmも離れた東京での放射能汚染に対して、かくも鈍感なのは我が家だけでだろうか。多分そうではあるまい、多くの人が諦めているのかどうかは別にして、かなり鈍感になってきている。小生は、娘の話に登場したトイレ掃除の小父さんの感覚の方が科学的だと思う。

問題は放射能汚染対策を進める責任を持っている政府や東電(彼らは政府任せで何もしていないのだろう)の態度だ。流石に世田谷区長は記者会見を開いて、対策を講じたいようなこと言っているが、東京都や政府関係者にはこの報道を聞いて慌てた様子は全く覗えない。世田谷区がやばければ豊島区だって調べれば問題が発覚するかもしれない。問題が明らかになれば、ほぼ無条件で人的にも経済的にも資源を投入せざるを得ないだろう。

藪蛇になるのが目に見えるだけに、この報道は無視するのが一番と思っているのだろう。最近は原発事故に関して、冷却が予定より早く進んでいるとか、避難勧告を解除するとか、復旧が進みつつあるような報道ばかりが発表されていた。たまたま今回の世田谷での一件は市民が発見して、報道機関にも通報したのだろう。取り上げたくはないが、の感が強い。時を同じくして福島県知事が、福島産米の安全宣言なるものまで発表している。

これで、首都圏の一般消費者が福島県産米を態々購入するとも思えないが、お墨付きが出たことで飯米を供給する事業者達は喜んで買うだろう。行政のありようとして果たしてこれでいいのだろうか。大きな疑問を抱かざるを得ない。敢えてはっきり言えば、政府は先ず放射線検査の対象をさらに拡大する必要がある。そのためには公務員だけではとても間に合わないのは明らかだ。民間の協力が必要なのだが、我が国はお上意識が強すぎて民間に頭を下げる事が沽券に係わると思っている。

全て発想の原点が「下々に余計な事を知らしむる事になるのはまずい」にあるようだ。この発想をひっくり返さない限り、どんな施策を講じようとも市井の実態とかけ離れて実効薄く、税金の無駄遣いが増えるだけと言うことになりかねない。政治家の力ではどうにもならないことかもしれないが、歯がゆい思いだけ強まる昨今だ。

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