書店でぱらぱらと読んで面白そうだったので買ってしまったが、正直なところ余りお薦めできない。400ページ以上のものが上下2巻になっているので、読破するのに相当な時間を要した。舞台は1960年代から70年にかけてのアメリカが中心だが、時折カリブ海諸島のハイチに跳んだりする。近年大地震が起きたことは知っているが、併せてドミニカだ事のジャマイカだ事のと出てきてもどこに浮かんでいる島か或いは国なのか混乱してくる。都市の名が出て来てもどこの国の事かと戸惑うばかりだ。
かてて加えて、その国の政権担当者の事が頻繁に出てくるが、これもさっぱりイメージが湧かない。知っているのはキューバのカストロぐらいだ。我が国が半島の国々と切っても切れない繋がりを持っているように、アメリカはカリブ海諸国と深い繋がりあるらしい。主人公が一人に特定できないので又ややこしい。取り敢えずのところ、何れもLAの警官とかFBI捜査官とかの司法関係者と彼らの愛人女性とでもしておこうか。
これに絡む役どころで重要な位置を占めるのが彼らのボスにあたる人間だが、これがFBI長官のフーバーとか大統領のニクソンにまで及ぶ。登場人物でほかの有名人はハワード・ヒューズとかマフィアの親分衆、ハリウッドの有名スターもたくさん登場する。これらが全て何らかの繋がりがあってストーリーが構成されているのだが、本当にこんなこと書いていいのかね、と思うような内容ばかりだ。
先ず、ケネディー大統領やキング博士の暗殺は、共産化を防ぐためのFBIやLA警察が絡んだ権力犯罪である事は周知の事実で、登場人物の何人かはその実行に関与していた事を前提として構成されている。概要を書くことすら難しいほど入り組んだ話だが、兎に角出てくる人物に日本的な感覚での善人は一人もいない事もすごい。政治家や富豪がマフィアとつるんだり、司法関係者が有色人種を嵌めたりするのは日常茶飯事。
不倫、麻薬、潜入捜査、強盗、殺人、拷問、資金洗浄、人間の欲望と悪行をこれだけ当たり前のように並び立てるのは、日本人作家ではとてもできない事かもしれない。最近日本では島田紳助の事がニュースになったが、この本に書かれた相関と日常から見れば、凄くかわいく見えてくる。登場人物の多さ、時空の大きな広がり、たかがハードボイル小説と思いきや、読むのに古典なみ苦労だった。
2 件のコメント:
こんな本は、辛抱のないワタシは無理です。
横文字にカタカナが多い本は、拒否反応が・・・
読みきられたのに敬服します。
かをるさん
コメントをありがとうございます。
お褒めに預かり恐縮です。
読破と言っても実際のところ、何も残っていません。
お小遣いの無駄遣いだった反省しきりです。
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