2011年3月15日火曜日

読後感「自らの身は省みず」田母神俊雄 著

2008年11月航空自衛隊トップの航空幕僚長にありながら、アパグループの懸賞論文に応募した「日本は侵略国家であったのか」を国会で野党から追及され、詰め腹を切らされて退職した著者が離職直後に書いた本である。日記に反応して頂いた方から薦められて読ませて頂いた。著者の参考人騒動が起きたのがつい先日のように思っていたが、もう丸2年以上前になるのも感慨深い。この2年間に著者は多数の本を書いているが、これが彼の原点に違いない。

今や著者を退職に追い込んだ民主党が政権に座り、自衛隊員が10万人も動員されて東北大地震の被災者救援に大活躍している。こんな事を考えると、政治に翻弄された著者自身、そして自衛隊の存在について改めて考えさせられるものがある。著者の考えは事の善し悪しは別にして、当時も現在も少しも変わらないだろうし、出版から多少年月の経過はあるが内容的には思想信条の根幹と受け止めた。

即ち、著者は日本の近代史について余りにも自虐史観が過ぎる事を先ず指摘し、中曽根以降の政治家が中国や韓国に対して弱腰過ぎる事について警鐘乱打している。特に在職中は遠慮していたようだが、戦後50周年で発表された村山談話と慰安婦関係調査に際して発表された河野談話については、大きな政治的間違いなので、政治的に取り消してほしいと念願しているらしい。気持ちは良く分かる、自社さ政権とは何だったのだろう。

もう1点は、やはり自衛隊の存在自体が如何に中途半端なものであるかを慨嘆している。これは既によく論じられている事だが、憲法にも関わってくる事なので、政治家の誰もがまともに政治案件にしようとしない。著者が繰り返し指摘するように、鵺のような我が国の軍隊は、いつまでたっても政治家にいいように利用、玩具にされるだけなので可哀そうになってくる。

国会の議論そのものが今のように全て建前だけであって果たしていいのか、改めて思い至った。

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