2010年10月8日金曜日

田舎でなくても個人商店は大変だろうな

昨日、我が後継の新社長の仕事場の近く、東池袋の大きなビルの1階でシャッターの降りたブロックがあった。説明を聞くと、近くに区役所が移転して来て、近辺の再開発がされる予定だったのに、不景気のせいか予定が遅れてしまった。為に、この再開発を見込んで出店した店が次々と撤退し始めているとの事。人口が多い江戸は不景気と無縁かとイメージしていたが、そんなに甘いものではなさそうだ。

シャッター通り商店街も田舎に限った事ではなさそうだ。改めて振り返れば我が家の近くも、40年程前迄は○○通り商店街で、日常生活に必要なお店は殆ど揃っていた。八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、米屋、豆腐屋、乾物屋、菓子屋、布団屋、畳屋、ガラス屋、自転車屋、薬屋、蕎麦屋、すし屋、床屋と実に豊富な店が並んでいた。すぐに思い出せないのは本屋と電気屋ぐらいなもので、主婦の日常的な買いものは全て2,3分のところで間に合っていたようだ。その上、取敢えず我が家は必要なかったものの銭湯までごく近くにあった。

「25,6歳で赤ん坊を二人抱えていたので、この生活環境は凄く有難かった。」と今でも家内はよく言う。それが現在は殆ど廃業か転居してしまっている。一時はシャッターが下りていた店も、現在では住宅に変身した家が大部分だ。余り間近な事で、却って変化に気がつかなかったようだ。幸いと言うか、或いはこれが原因かも知らぬが、当時は雑多な市場だった場所がスーパーに変身したりして、現在では徒歩15分以内に中型と小型スーパーが3,4軒出来ている。子供が幼稚園や小学校に通い始めた頃から、家内の買い物も自転車に乗ってスーパーに行くように変わったが、消費者としてのこちらには特段の不便はなさそうだ。

また交通事情も随分変わった。当時も今もこの通りを池袋行きの循環バスが走っている。しかし20年かもう少し前に、池袋からの地下鉄が開通、小生の足で10分程の場所に駅が出来る事で、商店街の没落が決定的になってしまった。嘗ては通勤客で朝夕混雑していたバスも、今では老人専用の乗り物みたいになっている。バス会社も大変だろう。

ともあれ、生活環境の変化は、そこでビジネスをする人に大きな影響を与えてしまう。この環境変化に個人的に対応しなければならない個人商店の経営努力は、大変に厳しいものに違いない。会社勤めを辞めた時に、屋台でも良いから小さな店を持ちたいという発想が湧かなかったのは幸いだった。

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