2010年8月16日月曜日

お盆・そして山登り(唐松岳)

12日故郷でお盆のお迎えをするために長野に帰郷。夕方亡き次兄の家に兄弟に甥や姪も加わりが集まり仏様の前で大宴会。更に甥や姪の子供たちが5人もいて、浴衣を着せてもらったりしてやはり大はしゃぎ。彼等にとってはお花市の屋台に行って金魚をすくったり、花火を買ってもらったりして楽しい夏休みの1日だった事だろう。

大人と言っても我が兄弟姉妹は皆祖父さんと婆さん、近況やら世間話の中で全員息災を確認しあって先ずは目出度しということか、子供世代の話題は、今はしゃぎまわっている子供たちの学校の事やら将来がやはり気になるようだ。我が家の子供と孫は参加していなかったのだが、我が娘宅は親も子も教育や将来について暢気すぎるのかなあ、と思いながら皆さんの話を聞いていた。

宴会の後は弟宅で泊めてもらい、翌13日朝食後八方スキー場の麓迄送ってもらう。昨日までは台風が来ていたので兄弟姉妹も心配してくれていたが、幸い台風は北海道沖に抜けて雨は上がっていた。しかし台風一過の秋の空を期待したものの、そうは問屋がおろさず、未だ低気圧が居座っているようで若干曇り模様。

八方スキー場山麓のゴンドラ乗り場を9:10にスタート。ここは標高750m、ここからゴンドラとリフト2基を乗り継ぐと一気に1850mの高みに運んでくれる。本場ヨーロッパのアルプスに行った事はないが、足元の草花などを見ていると何ともゴージャスな気分だ。八方峰でリフトを降りると、びっくりするような人混み。お盆の夏休みは山が空くと聞いていたのだが大違い。山頂に向かう道は人がびっしりと連なっている。

殆どが家族連れで、随分小さな子供を連れた人や足元など随分と軽装な人が多い。唐松岳はゴンドラやリフトが利用できるので北アルプスの中では登りやすいとは聞いていたが、これほどまでに大衆化しているとは思わなかった。確かに登山道は程良い傾斜で木道が整備されている。内心半分がっかりで、半分これで山頂に行けるならそれも結構な事だと複雑な気分だったのも事実。しかし未だ雪渓の残る白馬方面の景観を眺める事を楽しむことにした。

リフトを降りて1時間ほどで八方池、ここが日帰りハイキングコースの終着のようで、ここから先は歩く人の数がぐっと少なくなって山歩きの気分が出てくる。ぴかぴかの天気でない分だけ却って歩きやすいのかもしれない。ところどころ雪渓の残っている場所が休憩地の趣きで、人が固まって休んでいる。その中に1人で入っていくのも気が進まず、12時少し前に見晴らしの良い少し開けた道端で、麓で買って用意してきた弁当の握り飯を1個だけ食べる。

腹ごしらえを終えて12時に山荘に到着。チェックインをする。部屋は離れの北館で、ブースには先客のザックが1個置いてあるだけ。でもこれから何人詰め込まれるのか少し心配。取敢えず山頂に行かない事にはと、サブザックに昼飯の残りと飲料や、雨具だけを詰めて出発。

12:20山頂、遠く白馬三山から剣、立山連峰迄の眺望には疲れが吹っ飛ぶ。近くは白馬鑓に向かう不帰のキレット、歩く人がゴマ粒のように見える。ご苦労な事だ、こっちは決して行かないと決めているので気楽なものだ。振り向くと明日登る五龍岳がそそり立っている。こっちも結構な登りだなとおもったり。山の思いは様々、毒にも薬にもならない空想がどんどん広がって楽しいものだ。

それにしても下界の暑さが嘘のよう、むしろ身震いするような寒さだ。温かい飲み物が欲しいが荷物が重くなるのでバーナーも持参していない。雨合羽を着こんで岩陰に腰をおろして、冷たい水を飲みながら弁当の残りを食べ始める。と、隣に座った青年がおもむろにバーナーに火をつけカレーを温め始める。アルプスを歩くならテント迄は持たなくてもバーナーぐらいは持参すべきだ。猿と一緒でいつも反省だけはするのだが、どうしても荷物の軽量化が優先されてしまう。

この元気な青年に、持ち帰りごみにしようと思った弁当のフライを差し入れたところ、受け入れてもらう事が出来て大感謝、話しが弾む。長野からの兄弟登山で明日は不帰のキレットとの事。合羽を着ていても寒いので「山荘で又」と言って一足先に下山。夕飯には相当時間があるので、本館食堂に行ってビールを飲んだ帰りに、又この青年にばったり再会。部屋を聞かれて北館です、と答えると、「800円余分に払えば本館に移動してくれますよ」と教えてもらった。早速チェックインの変更を依頼すると、又この青年と相部屋になった。

北館は中央の廊下を挟んで両側に端から端まで布団が敷き詰められているだけなのに、本館は廊下を挟んで小部屋が並んでいる。小部屋は左右に上下二段の寝床部屋になってカーテンがついている。それこそお盆で空いていたのかもしれないが、我々の部屋は青年兄弟と私と大阪から来たおじさんの4人だけ。掛け布団が6枚あったので、兎に角楽々だった。明日、青年兄弟は4時半起きで不帰のキレットへ、大阪のおじさんは五龍を超えてキレット小屋までの予定との事。天気予報は余り良くない。こちらは雨だったら五龍は登らずまっすぐ下山と決めて早々に就寝。

明けて14日、4時半に起きると未だ真っ暗で雨が降っている。天気予報を確認すると、黒部地方午前中は40%午後80%の雨だそうだ。迷わず下山を決定、朝食5:10で予約していたので、これを済まして6時半前に出発、雨風に加えて霧のため何も見えない。足元が悪い上、雨が多かったので側面からの落石が怖い(足元に新しい岩が転がっているのだが、フードをすっぽり被っているので音を拾いにくい)。幸い天泊していたベテランの人が一緒になり、その人に教えてもらった。この人のリードで無事下山。

スキー場の麓にある八方温泉に行くと、10時からの営業との事。15分程温泉の前で合羽やストック等整理をして、一番風呂に飛び込んで汗を流す。10:40発のバスで長野駅に12時に到着、1時の新幹線で3時には東京着。1日早い帰宅で婆さんには済まなかったが、写真を見て「でも晴れている時に山頂に立てて、良かったではないですか。」と喜んでもらえた。

今日15日になってもふくらはぎの張りが残っている。地元の人からすると日帰り登山のコースらしいが、小生からすると日帰りコースを1泊して2日かけて歩くくらいが丁度良い塩梅にになってきたらしい。北アルプスの景観もたっぷり堪能したし、小屋は水洗トイレ付、食事も上等、雑魚寝無しで、相部屋の人もよかったし、お盆に良い命の洗濯をする事が出来た。

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