2010年6月3日木曜日

京都観光:山寺と里寺


昨日と今日爽やかな京都観光を楽しんできた。昼ちょっと前京都駅に降り立ってバス停に並ぶと、後ろに並んだ女性が新聞の号外らしきものを持っている。何事かと覗き込むと親切にも手渡してくれた。当然鳩山首相辞任の号外である。先月24日の日記に書いた通り予想はしていたので、いよいよその時が来たなと思い総理がちょっと可哀そうになった。これから暫く巷は大騒ぎなるのだろうが小生にとっては直接関係のある話ではない。爽やかな初夏の1日を楽しむ事だ。

先ず、駅から1時間ほどバスに揺られ高雄の山にある「神護寺」を訪れた。京都市内を30分弱北上すると立命館大学キャンパスがあり、ここを過ぎるともう奥多摩か秩父辺りのハイキングコースの趣が出てくる。京都の人が羨ましい。山城高雄のバス停が神護寺参道の入口になっている。脇の茶屋で昼飯に親子丼を注文した。客が一人もいなくて薄暗く何か侘しげな店だったが、これが思いがけず旨かった。腹ごしらえをしてから参道に赴く。先ず国道から北山杉の林を清滝川なる渓流に降り、高雄橋を渡って楼門に向かうのだが石段が整備されて入るが一寸した山歩き気分である。

拝観料を払って楼門をくぐり境内に入ると眼前は白い砂が敷き詰められた広場の趣だが、右手が直ぐ山林になっている。山裾と平地に幾つもの堂塔が点在するのが見える。同党が点在する山裾は楓をを主とする広葉樹の若葉が陽に輝いて美しい。紅葉で有名であるのもさもありなんだ。境内には人影が殆ど無く、広い境内を1時間半ほど散策したが行きあった人は5人しかいなかった。金堂に登っていくと賽銭箱の脇にお坊さんが一人習字の練習をしていたようである。


他に誰もいないのでこのお坊さんに聞くと、本堂の中は誰でも自由に上がれるとの事。早速内陣に上がって国宝の阿弥陀如来像を間近に拝んだり、これ又国宝絵画の源頼朝像の模写を観たりした。最後に家内安全を祈願して護摩を金千円で納めて坊さんにいろいろ聞いてみた。未だ若そうだがここの守をしているだけに、ご本尊の遷移や文覚上人と後白河上皇のいざこざから更に流配地での源頼朝との出会い等々の故事来歴については立て板に水で、パンフレットを読むのとは一味違う面白さがある。言わば平家物語の琵琶語りを聞いているような感じだ。

他にも、頼朝から広大な寺領を寄進されたのは良いがこの山寺に檀家は1軒も無い事、現在住職1名と高野山から派遣されたこの若い坊さんの2名だけで全山を守っている事、観光収入だけが頼りで如何に宗教法人とはいえ固定資産税も馬鹿にならない事?、国宝は扱いに厳しいルールがあるので頼朝像は京都博物館で預かってもらっているが秋の虫干しの5日間しか一般公開が出来ない事など俗な話をしたり、写真を撮ってもらったりして長居をした。

金堂を後に下の方に降ってくると清滝川を見おろす「瓦け投げ」なるビューポイントがある。京都市街地から幾らも離れていないと思えないほど山あいを深く感じさせるのは不思議でもある。ここを辞したのち再び清滝川の渓谷沿いに遡りハイキング気分で「西明寺」と「高山寺」の二寺を巡る。新緑に深く包まれた山寺に何とも言えない清々しさを感ずる事が出来た半日だった。

ホテルに戻ると大坂時代の同僚二名が待っていてくれて、久闊を叙しながら遅くまで酒を酌み交わした。嘗ての同僚も殆どがリタイアしているが皆それなりに元気で居る様子などを聞いて安心もした。ついでに明日のお薦めと言う事で、帰京前にJR奈良線で一駅のところにある「東福寺」拝観を薦められた。ここも紅葉の名所だそうだが、イサム野口が絶賛した庭園が見ものらしい。早く帰る必要も無いので、午前中に早速行ってみた。なるほどここも素晴らしい。


信州の田舎育ちでお寺と言えば善光寺、もう少し頑張っても鎌倉の諸寺くらいしか知らないので、京都の寺は先ずそのスケールに圧倒される。ここは修学旅行の生徒が自由行動で来ている風情があり、タクシーの運転手さんらしき人が四,五人相手に解説をしている。その横で聞いていると案内板に書かれていない事など聞けて面白い。例えば国宝の三門があるのだが、これは巨大な建造物であるにも拘らず金釘は一本も使用していない事、三門の柱はケヤキで静岡県から運ばれている事、一本のケヤキから四本の柱が取られている程の大木は室町時代富士山の麓にしかなかったのだそうだ。等など・・・

ここもいろいろ見所はあったが、小生は山寺の静寂の方がよりインパクトがあったのかもしれない。

2 件のコメント:

おかたむら さんのコメント...

お疲れ様でした。

元、京都人としては懐かしいですが
この時期の京都もなかなか良いですね。
紅葉シーズンの三尾に東福寺はまさに戦場状態。
私は東山を朝一に発って人込み前には
サッサと紅葉狩りを切り上げてしまいます。

写真のご仁はTさんにOさんでしょうか?
25年ほど会っていないので全く分かりません。

追記:後ろの「二日酔いしない」という日本酒が
妙に気になるんですが…

senkawa爺 さんのコメント...

おかたむらさん
コメントをありがとうございます。

紅葉のシーズンがベストである事は聞き及んでいたのですが、きっとそうなんでしょうね。でも新緑の中の静けさにはそれなりの良さを感じる事が出来ました。

写真の人物はその通りです。彼らもすでに定年退職とは歳月を感じざるを得ませんが、お二人とも若々しくお元気でした。