2009年7月21日火曜日

針の木岳―様々な教訓(その2)


さて2日目、日曜日の朝雨風ともに強い。4時過ぎに全員目覚めるが今日は下山と衆議一決、朝寝をしてゆっくり起床。小屋の客としては一番遅く6時頃朝食。昨日の夕飯も同様であるが、ここの食事は質量とも充実。我が小さめの胃袋には残念ながら全量は収まらない。昨日はひょっとしたらヘリを頼もうかとも、心配したTさんも元気を取り戻し朝飯を普通に食べる事ができた。全員生乾きの装備を着けて外に出ると雨風が少し小康状態になったので、下山前に蓮華岳のコマクサだけでも見ようと言う事で、Tさんと何度も登っているYさんには小屋で少し待ってもらう事にして、自分とリーダーとNさんが空身で蓮華岳を目指す。しかし20分も登るとやはり天気が相当に悪化、山頂のコマクサは諦めて引き返す。下山途中に登る時気がつかなかったコマクサを発見、群生ではないが記念に写真撮影。

7時40分全員で小屋を出発。Yさんが先頭、Tさん、Nさん、私、リーダーの順番を崩すことなく固まって下山を開始。8時50分には雪渓に到着、途中でまた落石に遭遇したりしたが全員無事に1時間20分程で雪渓を降り切る事が出来た。この後は約2時間ほどで出発地点の扇沢登山口に戻り、大町温泉でゆっくり疲れを落として解散となった。
今回の山行きは計画からすると3分の1か4分の1の行程しか消化出来なかったし、北アルプスの雄大な景観も観賞できなかったが初めての経験を沢山できて実に有意義であった。昨日の日記でも少し触れたが改めて総括した事を記録しておきたい。 何と言っても結論的には「山登りは自己責任」だ。



1.雨を甘く考えてはいけない。元々雨の日の登山が多いので気にしていなかったが、吹かれなくても雨だけで十分体は冷える。グローブももっと冬用に近い方が良かった。

2.ズボンの替えは1着でも仕方がないが、タイツを持参する事。

3.下着は新素材で、1日分は余計に用意する事。

4.無計画登山、人任せ登山ばかりだったが、自分で行程の事前チェックが必須。特にインターネットやガイドブックの時間で行けるかどうか。何より自分の体力低下を十分にチェックする事。結果的には1泊登山になったが、己の体力を考えると、この3倍からのトレッキングが可能であったろうか?少なくとも帰宅後の疲労度、仕事への影響は今日の比ではあるまい。標高差100m20分、50分連続歩行、10分休憩登山は少し難しくなってきているかも。

5.今回250円の傷害保険を掛けたが、ヘリを呼ぶと別途50万円が必要だったとの事。1000円程高くなってもいざという時にヘリも呼べる保険に加入すべき。

6.グループ登山では、ペースの最も遅い人を先頭にして何があっても隊列を崩さない事は非常に重要。先に行って下さいと声を掛けられるとその気になっていたが、これはいけない。先に行ってくれとも言ってはいけない。 特に悪コンディションの時は絶対守らなくてはいけない。

7.下山途中で同行者の一人がストックを折ってしまった。もう殆ど降り切った場所だったので大事に至らなかった。しかし帰途雪渓の登り口近くですれ違った登山者が軽アイゼンにストック無しで登山しているのを見た。自分以上の馬鹿が居るからと言って同じような事をしてはいけない。特に装備品についてケチってはいけない。ハイキングシューズだけでも取りあえず新品を買おう。

余談になるが同様のミニ体験をして:
北海道トモラウシ岳の遭難事故について旅行社が非難の集中砲火を浴びているが、少し可哀そうなところもある。今回Tさんの話を聞くと、眠くなる時は実に気持ちが良いらしい。眠ってから布団の中で気が付くまで何も記憶には無いそうだ。トモラウシ岳の遺族も旅行社を責めるより、爺さん婆さんが安らかに逝った事をを以て瞑すべきであろう。自分もツアーに参加した人と同様、山歩きを出来るだけ長いこと楽しみたいし、畳の上で死にたい。今回の途中撤退もそうだが、これからも登頂に拘らないで体調体力と相談しながら山歩きを楽しむ事にしよう。

0 件のコメント: