2009年5月5日火曜日

ルーツを訪ねて

我が本籍地は長野県上田市秋和にある。昔パスポートを取る時など、態々上田市役所に申請しないと戸籍を証明する書類が手に入らなかったので東京に移そうかと思った事もある。しかし何となくそのままで今日に至っている。生まれてこの方一度も済んだ事のない本籍地に居る従弟から、1か月ほど前に一族の祖先の墓の写真が送られてきた。我が一族の墓がある山の一番高い所にある天文15年に建立されたと刻まれている石柱である。長年ルーツ探索をしている親戚の話を聞きにいらっしゃいと誘ってくれていた。

間にも書いたが先月の身体検査で腰を痛めていた意味もあり、この連休はきつい山登りは止そうと決めていたので本屋で「東京近郊ミニハイク」という本を見つけて購入してみた。するとこの中に<遠くのすてきな山>なる章に上田の「太郎山」が掲載されていた。この山は我が本籍地の裏山で我が一族の墓地もその裏山である事は知っていたし、幼いころから父や親せきから話をいろいろ聞いて名前は親しんでいた山だった。この記事に刺激を受け早速従弟に電話をしたところ、「喜んで案内するよ」との事。

言葉に甘えて昨日早速上田に向かった。高速道路が1000円乗り放題と言う馬鹿げた制作のおかげと言うのも癪だが、東京駅も新幹線も例年になく空いていて気持ちが良い。普段の山行きに比べると比較的ゆっくりの8時15分の指定席で行く事が出来た。しかも従弟が昼飯も持ってくるなとの事、婆さんも大助かりだ。「願わくば今日は娘二人が帰って来て、孫3人とご亭主連の給食係でくたくたになるから日帰りをしないでゆっくりして来てくれ。」との事。

9時半上田駅に着くと従弟のヒロチャンが迎えてくれる。ところが彼の他に大人の女性が4人男性が1人子供が5人、何と総勢10人の出迎えだったのでびっくり。考えて見ればどこの家庭もこの連休は親元に顔を出すのが当たり前。彼の家でも東京にいる娘さん二人が帰省していたわけだ。とんだお邪魔虫で申し訳ないと思ったが後の祭り。仲間に入れてもらって太郎山ハイキングに向かう。登山口は我が一族の居住地とは反対の東の方、山頂のお宮の氏子である地区からになる。市民の山案内書に書いてあるだけあって娘さんたちは小中学校時代に何度か登山をしたものだとの事。

登山口から同じような家族連れが多い。我々も小学校5年生をかしらに3歳の子供までいるので賑やかで楽しい登山だ。標高差で600mほどあるのだが子供たちも頑張って2時間ちょっとで登頂。少し曇り気味で遠くの山までは見えなかったが上田市を一望する山頂は気持ちが良い。少し涼しいくらいで、夏山につきものの虫に悩まされることもなく山頂に大きなシートを敷いて盛りだくさんのお弁当を広げる。桜はもうヤマザクラだけで満開は山吹と言ったところだがお花見気分の大宴会となった。

帰りはいよいよ秋和口に向かう。11人全員が同じ口に降りたら車はどうなると心配したが、そんなものは後で誰かが取りに行けばいいのさと極めて暢気。登りに比べて道は圧倒的に細く険しい。その上3歳児は行きの疲れが出てぐずつきだす、大人が代わる代わる背負うとその背中で心地良さそうに寝込んでいる。お爺ちゃんは元気だからいいがお父さんお母さんはさぞお疲れだった事だろう。

秋和口に差し掛かるとあちこちに墓がある。このあたりは自分の土地を墓として登記しているのだ。1か月前に便りを貰ったはか所を全て案内してもらう。私の父はやはり若くして秋和を出て、戦後はずっと長野に居ついてしまったので長野に自ら眠る寺を決めて墓を作ったのでここには眠っていない。しかし叔父や叔母従兄妹達がずらっと眠っている。更に脇にそれて墓所の一番上に行くと天文年間の建立日が刻まれた石柱が数本建っている。墓石は現代のように立方体が整然となっていなくて正にごつごつして少し曲がった風情である。石もこの山から出る独特のものだそうで独特の風情。

墓銘は○○の守とあって明らかに武士の名前。武田信玄に仕えた武将で一族の寺には武田に忠誠を誓う起請文が残っているのだそうだ。<由緒正しい百姓の子孫>が父の口癖だった事を思い出して歴史の可笑しさを感じる。
従弟のヒロチャンと「今が一番大切で、まあ昔は知らぬが3,4代は人に覚えらているから恥ずかしくないようにしなきゃと言うもんだね。」と語りあった。今朝は朝の5時から田んぼに出てヒロチャンの野良作業をじっくり拝見。百姓仕事は大変ではあること、ものごとを管理する事については非常に貴重面に出なくてはいけない事を教わる。併せて仕事の合間に触れ合う地域の人の連帯感など知らない事たくさん学んだ。

父を知る人にも沢山出会う事出来て、千曲川漁業組合長のお宅では早朝のお茶やら今朝3時半に捕れたハヤなどをご馳走になった。沢山の先祖にお参りをして何れ遠からぬ時、そちらに参った折には宜しくとお願いも出来た連休であった。

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