2023年9月1日金曜日

汚染水

 昨日農水相が首相官邸からの出しなに、記者から「首相との会談内容をおしえてください。」と聞かれ「汚染水問題での情報交換だよ。」と気軽に答えた。最近この汚染水と言う言葉を聞かなかったので、久しぶりに本音が聞けた思いでほっとした。のもつかの間のことで数時間後には首相が記者会見をして、「農水相に対し言い間違いを撤回して謝罪することを厳命した。」もちろん程なく農水相が記者会見「アルプスの処理水であることを十分承知しながら、自分でも信じられない間違いであった。」と平身低頭で一定の理解に至ったのだろう。

小生はご承知の通り処理水なる言葉は使用したことがない。福一の事故は2011年3月の東北大震災で発生し、数日後には4機ある原発のうち3機が水素爆発まで起こして放射性物質を撒き散らし、一時はアメリカ軍が首都圏までやばいと騒ぎたりしたものだ。最近はもう誰も騒がないが、当時は随分長期間に亘りアトラスなるもので作成された放射性セシウム土壌の汚染マップが連日報道されていたことを記憶している。原子燃料のウランに含まれる放射性物質の種類は最もやばいとされたストロンチウムから始まり、何でも60種類以上に及ぶらしい。

当時福一にあった燃料は800トンを超える量だったようだが、放射線量が強くて誰も近づけずあっという間に溶けて鋼鉄製の格納容器を突き破って地上に溶け落ちたらしい。地上にどんどん落ちてくれれば問題無かろうとと思いたいが、それは素人の浅はかさ。格納容器は底が抜けていても兎に角冷やし続けなければならぬらしい。通常は海水で冷やすらしいが、山の方からも自然に水が流れ込んでくることもあったようだ。原子燃料は通常スチール管で覆われているので、冷却水が直接燃料に触れる心配は少ない。

ところが事故の結果、燃料が丸裸で直接水に触れる。だから冷却水はそのまま海に放出できない。仕方ないから当分汚染水として自社敷地内にタンクを作って留めおくことにした。これが溜まりに溜まって既に千トン入りタンクが千本以上敷地を埋め尽くしてしまった。もちろん2013年からはこのタンクに注入する水もアルプスなる装置で放射性物質を取り除くとされている。しかし取り除いた放射性物質の量や処分方法は不明。兎も角、農水相が言った<汚染水>は正しい言い方で、訂正を求めた首相の認識の方が間違っている。

2 件のコメント:

呑兵衛あな さんのコメント...

こんな話題で、汚染水が処理水と呼ばれるようになったそうです。犯人はNHK、バカバカしい。
>2021年4月、NHKは国際放送のNHKワールド JAPANで、福島第一原子力発電所からの放射性物質を含んだ水を政府が海洋放出する方針を9日に伝えたニュースのウェブ上の記事の見出しなどを差し替えた。海洋放出されるのを「radioactive water(汚染水)」としていたが、視聴者から誤解を与えかねないと指摘を受けたとして「treated water(処理された水)」に改めた。NHK広報局によると、視聴者から「汚染水が処理されずにそのまま放出されると誤解されかねない」などの指摘があり、11日に表現を差し替え、「誤った印象を与えたかもしれない」との釈明も付記した。この件は13日の衆議院総務委員会でも取り上げられ、NHK会長の前田晃伸は「正確に伝えるために、見出しやTwitter(現・X)などを含めて表現に留意したい」と答弁した

senkawa爺 さんのコメント...

呑兵衛あなさん
いつも貴重なコメント有りがとうございます。
NHKが新しい日本語を作るのは勝手でしょうが、政府がこれ幸いと便乗しては困ります。
当時のNHK会長が「結果を正確に伝えるため」と言われたとのことですが、却って分かりにくくなってると思います。
政府や東電当事者は汚染された水を如何にして処理し、結果がどうなっているかをきちんと説明してから使用すべきだと思います。