2023年6月24日土曜日

読後感「思い出せない脳」澤田誠著

 最近とみにもの忘れが激しいので、書店で書名に惹かれて購入した。参考になったかどうかだが、結論的には参考になったと言える。何故か、物忘れは気にするな!と受け止めることが出来た気がするからだ。脳は極めて働き者の臓器で実直らしい。細胞が入れ替わることもなく人生の生涯に亘って動き続けているらしい。記憶の保存方法や意思決定の科学的仕組みは殆ど理解できていないが、記憶が出てこないのは誰にもあることで、無理をしないことが大事なようだ。

学生でもないから、何か特に記憶力を強化する必要もないし、思い出せない事柄は長いこと不必要だった事象だからとのことを知ると「何だそれだけのことか」と安心もしたくなる。海馬が縮小すれば、それなりに記憶容量は減るようだが、それだけでいきなり認知症になることでもなさそうだ。もう一つ知ったことは記憶の保管方法や保管場所にも色々あって、単一でないこと。特に保管方法に関して言えば、一つのエピソード(ストーリーのようなものかも)にしても、裁断されてパーツをそれぞれ個別に、しかも脳内のネットワークで保存されるらしい。ちょっとコンピュータ的で面白い。

しかし科学的生理学的な話は難しいし、一度読んで理解できたとも言い難いので措くとして、本書の内容紹介にうってつけな部分が序章にあったので引用する。

第1章 そもそも記憶を作ることが出来なかった

第2章 情動が動かず、重要な記憶とみなされなかった

第3章 睡眠不足で記憶が整理されなかった

第4章 抑制が働いて記憶を引き出せなかった

第5章 長い間使わなかったために、記憶が劣化した

先に書いたように、記憶は分割保存されているので、脳の神経細胞が減ってもすぐに特定の記憶が失われないとのこと。但し、神経細胞が減れば減るほど記憶力が落ちるのは必定。よって健康的な生活を送らないと認知症になる危険が早まることにもなりかねない。予防には運動や栄養補給、そして何よりも十分な睡眠がベストのようだ。

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