2023年5月11日木曜日

小さな幸せ

 昨日英国で制作された映画「生きる」を観た。配給した東宝もヒットは期待しなかったようで、都内では日比谷シャンテという小劇場1館で、1日2回のみの公演。黒澤明監督の原作を観てないか、全く記憶に無いので兎も角観てみた。評判は悪いが、思ったほど詰まらなくもなかった。舞台設定が1950年代のロンドンに近い田舎町で主人公はそこの市役所市民課勤務初老の課長。医師から余命9ヶ月の宣告を受けたのに、同居する息子夫婦にも言わず、職場でも誰にも言わない。

この設定自体がちょっと信じがたいので、多くの人が最初から鼻白むかもしれないなんて思ったりもした。面白かったところは市役所の公務員の勤務ぶり。市民から汚い空き地を整備して公園にしてくれとの陳情が何回も持ち込まれているが、これのたらい回しがひどくて、日本の現状ではチョット信じられない。昔は外国のサラリーマンは定時になるとやりかけた仕事をやめて帰宅の準備をすると言われたが、現代には通用しないだろう。それは兎も角として、テーマが人生の小さな幸せであるのは原作同様だろうし、観客にも一定の感慨は与えるだろう。もちろん小生も生きてきた小さな喜びを感じる年格好だ。但し、仕事絡みでの達成感は頂けない。でもドラマにはうってつけかな。

ところで日本は小さな島国という意味でイギリスに似ているが、世界に対する存在感では大違い、大国と小国の差も大きい。イギリスはアイルランドで他国と地続きなので複雑な問題があるが、日本は完全に孤立した島国。他国の干渉を受け難いという意味ではメリットだろうが、どうしても夜郎自大になりかねない。ましてや現在は世界最強アメリカの保護国だから、アメリカの言う事さえ聞いていればかなり悠長に構えていられた。

ただ昨今は世界の枠組みが激動し始めているので、大陸国家と同様に少し考える必要性もあろう。なんて言ったところで小生ごとき一ボケ老人には到底できない相談。官僚や政治家、要するに優秀な人達に対処を願うしかあるまい。

閑話休題:今朝起きようかと思った矢先に珍しく地震に見舞われた。枕元に置いているスマホがけたたましい警報を発した。隣の部屋にある唯一のテレビをつけると、千葉半島の突端で震度5とのこと。東京は震度3だったが、地震は想定不可能だからやっぱり怖い。

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