2017年10月6日金曜日

信濃路の秋

昨日は信州上田(丸子)で3歳年上の義弟の葬儀があったので行ってきた。上田は未だに本籍地だが、実際に住んだことが無い。父が5男だったので、早くに寺を上田から長野に変えて、生前自分で墓を建てしまったのだ。従って小生は土地勘が無いので、葬儀のついでは不謹慎とか縁起でもないとは聞くが、生涯教員だった義弟の盛大なお葬式(先生とは羨ましい職業だ)の後、絶好の秋晴れだったので、観光スポットを何ヵ所か義妹に案内してもらった。先ず上田、駅のすぐ近くにあるうどん屋の「中村屋」、ここで<馬肉うどん>を生れて初めて食した。父からも「上田では馬肉を<さくら肉>と称し、珍重して食べていた。」とは聞いていたが、実際に食べてみて成程と得心がいった。

メニューには定番の馬刺しから始まり多々あるが、代表が<肉うどん>580円とのことで、これを注文した。出てきたのは茶色の濃い汁の中の白いうどんは特に太くも細くもない、ごく普通に見える。その上に乗った肉片6枚か7枚くらい、何れも小指大で長方形に形が整い色は茶色一色、他にはパラパラと刻みネギが振られているのみで、見た目にはあまり美味そうに見えない。ところが、これが実に美味かった。一見固そうに見える肉が非常に柔らかいし、つゆ汁の味も何と言えず絶妙だった。

義妹の説明や卓上にあった説明書きによると、馬肉はどんなに煮込んで硬くならないらしい。汁も色のわりに塩気もきつくなく風味があるが、鰹や昆布などのダシは一切使わず馬肉を長時間煮込んだだけの汁らしい。何とも田舎らしい<うどん>ながら、地元の人が愛することがよく分かる。いわゆる名物とは少し趣が異なるだろうが駅からも近いし、駐車場も完備しているので旅行者にはお勧めしたい。その後上田城址にも足を延ばして、東郷平八郎元帥の揮毫になる赤松小三郎の石碑を見てきた。途中に<赤松小三郎生誕の地>の幟が沢山立っていたので、これも地元では知らぬ人は無いのだろうが、先日読後感を上げたばかりのように、つい最近知ったばかりだ。

上田駅から丸子の間には国分寺跡があり、更にその先には北國街道の宿場<海野宿>が保存されている。話には聞いたりテレビで観たりはしていたが、実際に足を運んだのは初めて。平日だからだろうか、とても静かで好い雰囲気だった。しかしここでは宿場の家並より白鳥神社に惹かれた。如何にも古びた佇まいで、境内の欅の大木2本は周囲8mとのこと。このお宮は平安時代、ひょっとするとそれ以前から産土神として祀られていた可能性があるらしい。現在の祭神は日本武尊、貞元親王、善淵王、海野広道公の四神。

新幹線開通でこの辺はすっかり寂れたのだろうが、12世紀の源平時代に木曽義仲が頼朝に呼応して木曽から京都に攻め上った際、この辺りが信濃源氏の集合場所となって義仲の旗揚げの場所とされているとのこと。隔世の感深いものを感じた秋の1日だった。

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