2016年4月27日水曜日

東京の季節雑感

今日から少し天気が崩れるそうだが、それでもいい季節になった。これか出掛けなくてはならぬので今日は少し早めにアップする。都会住まいだから薫風香るとまでは言えないかもしれぬが、木々の緑は一層濃さを増し、ハナミズキが白やピンクの花をつけ、街路の植え込みにある躑躅が一斉に咲いたので植込みの色これまでと全く違って華やかだ。ご近所の玄関先に置かれたプランターの植物も溢れんばかりに咲き誇っている。

花の名前も分からぬが、何れも美しい。我が町はそんなに古い街ではない。50年前には麦畑だった場所に今やひしめき合うように並ぶ家々、お世辞にも邸宅とは言い難く、どちらかと言えば兎小屋との形容が似合うような家の方が多い。中にポツンポツンとやや大きめな家もあるが、玄関先のプランターに植物を育てているのは大抵前者のご家庭だ。大きな屋敷は屋内の手入れだけで手一杯で、外回りに気を使う暇が無くなるのは理の当然でもある。小さいながらも楽しい我が家なる台詞を昔はよく聞いたが、これが平均的日本人の心根だろうし、平均的日本人でいることが嬉しい春である。

朝方にはご近所の方々が草花に水やりをする姿をよく見かける。ご近所付き合いは一切婆さん任せなので知る人は少ないが、相手からすれば此方がどこの馬の骨かは先刻ご承知のことだろう。水やりは奥さんが多いが、中にお一人だけ男性がいる。多分あまりに齢に変わりがないリタイアメントだろう。この方は他所よりだいぶ大量の花を手入れなさっていて長時間玄関先におられるようだ。こちらを見かけると必ず朝の挨拶をくださる。

都会は田舎に比べ近所付き合いが無いとか薄いので云々とよく聞くが、必ずしもそうと限らない。日本人の人情はどこに住んでも似たようなものだろう。確かにところどころにあるアパートの住人については、婆さんに聞いてもよく分からないらしい。隣組当番になって赤い羽根共同募金の集金やお祭りの寄付集めの際など「あそこは行かなくていい」との申し伝えがある部屋があったりするらしい。我が家の前がごみの集積所になっているのだが、ここに違法投棄が時々あって婆さんが怒っていることもある。

遠方から自転車出来て投げ捨てる悪い奴もいるらしいが、アパートの住人も時々いるとのこと。婆さんは探偵宜しくごみの中に紛れ込んだ荷札なんかで住所を突き止めたリすると、犯人宅に文句を言いに行ったりすることもあったらしい。恐ろしい婆さんだ。今更のように「女性活躍社会」などとうたわなくても、婆さんを敵に回すと碌なことにならないのは今も昔も変わりないだろう。

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