2015年9月8日火曜日

負け戦の総括

八百長とまでは言えないだろうが、野田聖子氏が総裁候補に立候補できる可能性が無いことは、ご本人も十分承知の上だったのだろう。勿論野党にしても同様の筈だが、問題は今後のことだ。自民党内でも来年の参議院選挙は安倍体制では勝てないことが周知のこと。この法案成立で一旦次期総裁に再度就任させて、選挙前に健康上の理由で退陣してもらう。が大方の読み筋なんて報道もあるが、野党がそんな甘いことを考えても始まらぬだろう。

結局今国会で安保法案が成立することは間違いないことになったが、一旦成立してしまうと、これを違憲法案としてひっくり返す手続きは極めて難しいらしい。最高裁で安保法案=違憲の判決を引き出すには、上手く行って4年はかかるそうだ。長谷部恭男・小林節両教は次のように語っている。(6月15日の日本記者クラブでの会見から)
「まず次の国政選挙で新しい政府を成立させ、いったん成立したこれらの法律を撤回することを考えるべきだ」(長谷部)、「どっちみち参議院選挙で自民
党が沈めば憲法改正はできなくなる。その次の衆院選で自民党政権を倒せばいい。およそ4年後の判決を待つよりよっぽど早いですよ」(小林)

4年以内に自民党政権が倒れればそれにこしたことはないが、果たして野党にそれだけの戦略が構築できるかどうか、甚だ疑問と言っては申し訳ないが心配もまた事実である。前回の総選挙における自民党の得票率は22%と言われるようなので、野党が本気で結集して力を合わせることが出来れば決して不可能ではないと思ってしまうのだが、これが素人には分からない政治力学の難しさなんだろう。ここで思うのは、U18少年野球チームの解散式とはいかないだろうが、野党の心ある人間に是非今国会の総括をして将来への展望を持ってもらうことだ。

負けチーム応援団としての感想を一言書きたい。先ず苦言である。安倍総理の顔を見るのもうんざりだが、どの野党党首の顔にも覇気が感じられないのが一番いけない。U18少年野球チームの解散式を引き合いに出したのはそれ故である。野党は現在不利で困難な立場にあるのは当たり前のことだ。しかし野党には将来を狙う、或いは将来を見据えた満々たる野心があるべきで、これは与党に居ては養い得ない。この差が与野党党首の顔つきに出てこないことが非常に残念だ。

国民の多くは今国会を通じ、現政権には論理的な正論も通用しないこと、違憲法案と承知しながら欺瞞を以て成立させざる得なかったその背景に、極端なまでのアメリカに対する弱腰があることがはっきりした。彼等の嘘をいくら指摘しても、彼等はアメリカの指示に従っている以上屁でもないのだ。仮初めにも一度は政権を奪取した経験がある民主党の幹部であれば、その辺はよく分かるだろう。

アメリカに対する恐怖感は似たようなものだと思う。しかしその恐怖を克服して、返り血も辞せずに日米間の不平等条約を変える勇気をもたない限り、再度の政権なんて及びもつかない。明治に始まった不平等条約の改定は、大戦を挟んで吉田茂の日米安保(厳密に言えば条約の変更ではないが、立ち位置を定め直している)、岸信介の安保改定を3度目とすれば、4度目の正念場をどのように目標に据えるかである。

その困難で長い道筋を考えれば顔の引き締まり方も変ってくる筈だ。政府の欺瞞を叩いているだけでは、その気概を感じることはできないぞ。

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