2015年7月23日木曜日

日本の恥だ

安倍内閣は何かと立ち上げることが好きである。有識者懇談会の類は数知れずだろうし、関係閣僚会議も幾つあるか知れたものでない。一昨日も新国立競技場建設を一からやり直すためと称して官邸内に省庁横断的に関係閣僚を集めて会議を開催、遠藤五輪相をヘッドとして建設計画の取りまとめ作業を加速させるとしている。

同じ日に来年10月に開かれる「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」の官民協働実行委員会の初会合として、オリンピック組織委員会が開催されており、委員会には東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相はじめ安倍首相・御手洗冨士夫・ラグビーワールドカップ2019組織委員会会長や財界人ら約80人が参加していたそうだ。

ところが議長としてこの会議に出席していた下村文科相と総理は冒頭の挨拶だけで、官邸の新国立競技場関係閣僚会議出席のため早々に退席。森氏は「呼びかけた下村大臣がただちに退出するというのは極めて非礼」と不快感を示す場面があった。更に翌日の昨日は日本記者クラブで、森氏が新国立競技場の問題で記者会見を開き、改めて政府の白紙撤回や世論の反発に不快感を示している。

誰の責任かまだ特定されていないが、予算が莫大に膨れ上がった国立競技場問題について総理がちゃぶ台返しを断行したのは世論に押されてのことだから、世論的には反対の声は少ない。しかし思い起こすと2020年東京リンピック開催が決まったのは2013年の9月。総理自身が万端の準備が整い、全てがアンダーコントロールです。と世界に発信してから既に丸2年近い。

しかしこの期に及んでこの体たらくで、又同じ総理が今度は国民に向かって、胸を張って「見るに見かねて自分が乗り出した」みたい風情である。今日世界に恥を晒しているとの感覚は全く無いらしい。森氏にすれば恨み節の一つも言いたくなるのだろう。省庁横断しようが何しようが、、いや省庁横断すればこそかもしれぬが、当事者能力がありそうな顔は一人も見えない。いっそ、土建専門の国交省にでも丸投げすれば話は大分変るかもしれぬが、今回は関係閣僚会議に呼ばれなかった東京都知事まで嬉しそうにしゃしゃり出てきた。

こんな会議のどこに意味があるのだろう?都知事がいみじくも言ったらしいが旧帝国陸海軍の参謀会議と同じではないか。会議と言う名の船に乗っている間は全員尤もらしい顔をしているが、誰も責任は取らない仕組みがスタートから用意されている。これが日本の特質とは情けなさすぎだ。遠藤五輪相をヘッドなんて格好をつけても部局を持たない大臣なんて屁のツッパリにもならない。結局は文科省が中心にならざるを得ないのだろう。

森氏は「(オリンピックの総額が)最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」と述べ、当初の7000億円という予測が3倍に増える可能性があると指摘したらしいが、こちらの見通しは意外と的を射ている可能性がありそうで困ったことだ。

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