2015年5月12日火曜日

右旋回が急だ

このところ箱根の噴火や季節外れの台風関連のニュースばかりで面白くない。
目立たないようにしているのかどうか知らないが、国家の方針が曲がり角にあることの方がずっと重要に思うのだが、意外とマスコミは淡々としている。そこで最近の個人的思いを少しばかり書きたい。

この世に生まれたは75年前の1940年、日本は軍国主義の真っ盛りで、国を挙げて大陸や南洋諸島に覇権を拡大しつつあった時期に当たる。明治維新自体が、欧米の植民地政策に屈しないことを目的にした内政改革で、その血で血を洗う騒乱が収まって以来、国家として目指したのが欧米の植民地にならないようにすること。むしろ欧米列強並みに海外に権益を拡げ、植民地を持たねばならぬと考えたのだろう。そして新政府の指導者たちが国家目標に掲げられたのが「強兵富国」政策。

そしてこの時、国家のシンボルとして「天皇」を国民の脳裏に上手く刷り込み、政策推進にフル活用することになる。この手法はある意味で大成功して、その最初のピークが小生誕生の頃だったのだろう。明治元年から数えれば72年目に当たる。(因みに第2のピーク敗戦直後だが、何時か改めて書きたい)恐らくその間日本人は、官民挙げて欧米並みの国造りを目指したに違いあるまい。多くの個々人にとって国造りは関係ないだろうが、国民の大多数は日本国が何となく世界でも屈指の強国となって行くことは誇りでもあり、出来れば自分もその一助か一翼になりたいとの思いを持っていたに違いないだろう。

列強になって行くことは一方に被征服国家が植民地となって行くことでもあるが、そこの国民に思いを致した日本人はいなかったも同然のようだ。そのことは致し方あるまい。日本が植民地化しなければ、他の欧米諸国が植民地とするまでのことに過ぎないのだから。むしろ日本では、アジア諸国を欧米諸国の植民地化から守るぐらいの理解でいた庶民が大半だったのだろう。1930年代に世論調査なるものがあったか分からないが、当時に調査をすれば、大陸や南方に覇権を拡大することについて圧倒的に支持があったのではなかろうか。

しかし国家の運営とか国策とは難しいもので、必ずしも世論の支持率だけに沿って舵を切っていれば間違いないてなものでもなさそうだ。誰かが責任を持って舵取りをしなければならない。時に世論の支持が間違っていたのは歴史の示すとおりである。軍国主義がピークを迎えつつある1930年代初め頃に、植民地政策を否定する学者や政治家がゼロであったとは思えないが、その発する声はメディアの未発達と相俟って、ゼロに限りなく近かったのだろう。

翻って現代であるが、今年は特に国家の方針が急激に右旋回しつつある。現政権は民主的手続きを踏んでのことであり、強権的手段をもって強引に国策を変えよとしている訳ではないように見せているが、個人的には何となく欺瞞的手法のようにも見えてしまう。それでも議会での議席を思うと、政権の思う通りに事は運ぶのだろう。ただ現代は1930年代と異なり、メディアの発達で様々な情報や考えが多角的に国民に届けられるているので、官民挙げて日の丸振ってと言う訳にはいかぬだろう。

右旋回アメリカ追随の国策が吉と出るのであれば喜ばしいことだ。ただ何と言っても日本が海外で軍事力を行使する方向への転換である。近未来に於いて簡単に不幸な事態が起きるとも思わないが、万が一起きたとしたら誰がどのように責任を取るのか。その1点だけは明確にしておいてもらいたいものだ。昨夜のテレビ朝日系「報道ステーション」で解説者木村草太氏が「イラク戦争当時、憲法に違反して、自衛隊機が兵員輸送などの後方支援を行ったことが明らかになっている。このことに関しても誰に責任があったのかいまだに明確にされていない。」てな解説をしていたが、無責任は我が国の国民性だからなぁ。

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