2015年3月9日月曜日

老後頼りの綱

4年前に東北地方に莫大な災害をもたらした津波や原発事故。この災害の復旧が遅れて、未だに仮設住宅住まいの方が沢山居られるようだ。特に津波で家を失くされた方は、元の家屋や土地の処分が思うに任せないとなると、他の土地を見つけて移住するとの決断は容易でないだろう。行政は勝手に線引きしてここから先は住宅建設を認めないなんて言い出したら、土地を売ることなんか殆ど不可能になる筈だ。

日本人には家と土地が大きな財産だから、預貯金が無くても土地さえあればと思っていた人も多いだろう。我が家も多分そうだろうと思う。家計は一切タッチしていないので詳細は分からないが、現役時代に稼いだお給料自体が知れた額なので、家人がどんなにやりくり上手であっても預貯金がそんなにある筈もない。辛うじて都内の家屋敷、と書けば景気が良いが、僅か40坪の敷地に古色蒼然たる築半世紀以上の陋屋が存在している。猫の額のような土地に古い兎小屋を置いたようなものだ。

しかしこれが余生の唯一頼みの綱で、家さえあれば年金で食べていけないことはないだろうし、どうしても現金が回らなくなったら、これを担保に生活資金を調達するまでと気楽に考えていた。しかし情けないことを書くのは気が進まないが、先週たまたま年金基金の控除証明を受け取って、これが健康保険料の支払金額にほぼ見合っていることが分かった。しかも、この基金が近い将来消滅する可能性が高いらしい。

現在の年金でぎりぎり暮らすのがやっとだから、基金からの収入がが無くなると、保険料の支払いは乏しい貯蓄の取り崩しになる。それ以前にすべきは、現在昼間快適に過ごしているこの事務所の閉鎖だ。そんなに長生きしなければ良いが、万が一5年も10年も長生きをすれば、どこかの時点で事務所の閉鎖は勿論で、更には猫の額を何とかしなくてはならない事態も起こらないとは言えないだろう。考えても気が重いが、津波や原発事故で自宅の価値が無に等しくなってしまったお年寄りのことを思えば、益しと思わなければならない。

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