2014年10月21日火曜日

事実関係は無視か?

今朝の朝日新聞で小渕前経産大臣の件について、検察幹部のコメントがさらりと掲載されているのを見て仰天した。二人のコメントとしてあり、先ず一人は「政治資金規正法違反又は公職選挙法違反の可能性無しとしない。」とあり、続く二人目が「単に馬鹿な秘書が杜撰な会計処理をしただけのことで、問題とするに当たらないかもしれない。」と述べたとしている。「お馬鹿な秘書がした些細の間違いだからゴメンね。」で済むなら検察はおろか警察も要らないだろう。

役職も氏名も特定していないから本当に取材したかどうかも分からないが、朝日新聞もここまで政権にすり寄らなくてはならぬかと思うと本当に情けなくなる。昨日の午後から今朝に至るまで、マスコミは女性閣僚二人の同時辞任で大いに盛り上がっているが、何となく釈然としない。何故ならば、松島氏のうちわ問題は事実関係が以前から歴然としているので、彼女なり内閣の判断について如何様な論評があろうと、マスコミの受け止めとして素直に聞いておくことができる。

しかし小渕氏の件については、先週の週刊新潮発売からそろそろ1週間も経とうと言うのに事実関係が未だにはっきりしない。辞任会見を長々やっても「事実関係については第3者に調査をお願いするつもりだから待ってちょうだい。取り敢えずはゴメンね。」だけで全く無意味なものだ。メディアの方もそれで許すつもりかどうかは知らぬが、何となく当事者のキャラクタ報道だけに終始しているのは何としても頂けない。

いち早く地元の城代家老の中之条町町長が「私が悪うございました。」と名乗り出た報道はしても、事実関係については一言のコメントも取れていない。むしろ取りようによっては、代議士自身はクリーンであったが、選挙の厳しさを初心で何も分からなかったので、ある意味可哀そうかもしれないとも取られかねない。市民のインタビューにはこれが如実に出てきてしまう。一方でこれまた何を考えているのか分からぬが、1日で二人の閣僚を辞任させて、後任を素早く決めたことを、第1次安倍内閣時代の辞任ドミノからの学習効果に基づく危機管理と持ち上げてみたりしている。

その延長線なのだろうが、昨日夕方には総理自身がテレビのぶら下がりインタビューで任命責任について言及、はっきりと「ごめんなさい」を言っている。これを視聴者がどのように受け止めるかであるが、大方の受け止めは、何を謝ったのか定かでないまま、即責任を認めて素直に謝るのは現政権の良いところ、となりかねない。兎に角政権側は全員殊勝らしく謝って、2大臣の首を切ったダメージが軽減されるなら安いものだ。大臣の代わりなんぞは掃いて捨てるほど居るのが実態だろう

マスコミとしては意図せざるところかも知らぬが、完全に政権の思惑に嵌り、辞職や後任の人事報道に流れ、肝心の事実関係の追及はすっかり疎かになっている。当事者が辞職してしまえば、マスコミは彼女から遠のくのが見え見えである。小渕氏の辞任は代議士の秘書に対する監督不行き届きの結果として単純化され、彼女が罪に問われず政治家として復活できるとすれば、政治家稼業は気楽なものだ。そして根底に日本の司法制度とマスコミの無責任さが存在していると思うのだが、直しようが無いのだろうか?

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