2014年10月12日日曜日

若き官邸記者たちよ

先週本年度のノーベル物理学賞について、赤崎勇名城大終身教授、天野浩名古屋大教授、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の3氏が、青色LEDの開発で受賞することに決まったことは日本人として喜ばしく、慶賀に堪えないところである。引き続いて文学賞は村上春樹氏に、或いは平和賞には憲法9条を守り続けている日本人全体になんて前評判もあったようだ。両方とも噂倒れに終わったが、一番ほっとしたのが安倍総理とのこと。

そりゃそうだと思う。憲法9条を実質的になし崩しにしている張本人が総理大臣であれば、査定する側も今の時点で日本人を評価する訳にはいかぬだろう。村上春樹氏の小説は難しくて、どうしてそんなに評価が高いかよく分からないのだが、村上氏は原発政策だけではなく、現政権の方針にかなり批判的な発言を繰り返しているらしい。もし受賞したらお祝いの電話も掛けにくかったろうが、その必要が無くなってホッとしていると噂されるようでは情けない話だ。

先週は久し振りに臨時国会が開かれて衆参両院で予算委員会も行われた。未だ40日ほど会期があるようだが、実にお座なりの開催であることが指摘されている。通常国会が閉会した6月末から今国会の始まりまで、100日もの間が空いている。しかも前国会閉会直後に集団的自衛権に関する憲法解釈を閣議決定で覆す暴挙を行いながら、今国会には法案も出さず本格的議論はしないとうそぶいている。消費税増税に関しても、今国会終了後の12月初旬に総理が適切に判断するとして本格的議論から逃げている。

野党からの質問を空回りさせる狙いであることは見え見えであっても恬として恥じていない風情だ。野党の質問が下らないとばかりに、マスコミ報道が盛り上がらず天災の報道ばかりが特筆大書され続ける情けなさである。閣僚の揚げ足取りは下らないと言えば、確かにその通りだ。しかし、この2年近くの安倍内閣を見る限り、一昔前であれば間違いなく辞任に至ったであろう閣僚が全員無傷で安穏としているのも異常であるし、内閣が先頭に立って朝日新聞を世の中から葬り去ろうとシャカリキになるのも如何なものかとも思う。

政高党低とよく言われるが、何も松島法務大臣の答弁ばかりではないが、よくもあれだけ支離滅裂な詭弁や嘘を並べ立てて世の中が通るものと、ある意味感心して見ているが、総理自身の答弁が一番詭弁に終始しているのだから、何とも致し方が無い。せめてマスコミにはもう少し頑張ってほしいが、官邸担当の記者が、各社押しなべて若手しか投入しないことに問題があるのだろうか?

総理の記者会見なんかになると、テレビ出ているような小父さんが前に並んで代表面で質問している。聞いていて恥ずかしくなるような質問ばかりだ。若き記者諸君よ、大臣に嫌われようと会社で上司に怒られようと良いではないか。勉強不足も気にするな。会社なんか潰れても食っていく道なんか自ずと開けるものだ。特に朝日新聞の記者であれば、倍返しの精神、或いは中村修二先生のように怒りをバネに、納得できないことは納得できないとして突っ込んでもらいたいものだ。

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