2014年9月25日木曜日

エネルギー政策の不思議

エネルギー問題を所管する経済産業大臣に自民党ホープと噂れる小渕優子さんが着任して間もない。彼女も原発再稼働の嫌な役目を引き受けざるを得なかったか、と半ば同情していた。一方で、原発に関しては以前から科技庁(現在は文科省)が絡んでいて、更に最近は屋上屋で、内閣府にも科学技術担当相が設置されて何が何だか分からぬぐらい複雑な仕組みになっている。

先日(22日)ウィーンで開催された国際原子力機関(IAEA)の年次総会には、この科学技術担当相の山口俊一氏が出席して演説している。日本政府が4月に閣議決定したエネルギー基本計画で原子力を重要な電源と位置づけたことを紹介し、九州電力川内原発について「政府として再稼働を進める」と表明した。と報道されたばかりだ。地元はどうか知らないが、全国的な世論調査では恐らく半数以上が再稼働反対だろう。世論と政府方針の乖離は何もこの問題に限ったことではないので、びっくりすることは無いにしても今日は次の報道に正直驚いた。

「九州電力は24日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度に基づく接続申し込みについて、回答を25日から数カ月間保留すると発表した。7月末段階の契約申し込みがすべて接続された場合、電力量が九州管内の春や秋の需要のピークを上回る1260万キロワットに達することが判明した。送電設備の容量が足りず、九州全体の電力供給が不安定になる公算が大きくなったためだ。」電力が足りているので、太陽光や風力などの新エネの買い取りを暫し見合わせるとのことらしい。九州電力は経産省の許可を得た上で発表していることは間違いない。経産相の小渕さんも当然承知のことだろう。

時恰も総理閣下が態々ニューヨークにまで足を運び、国連で温室効果ガス削減に力を入れようと演説したばかりである。しかもこの演説、具体的目標数値を示さなかったの何だので、悪評サクサクのところである。根拠無いことを上顎と下顎の当たり放題に喋るのがお好きな総理閣下ではあるが、日本のエネルギー政策について、もう少しお勉強された方が良いように思う。原発再稼働はエネルギー不足解消が目的なのか、温室効果ガス削減が目的なのか、論理的に説明すべきだ。新エネを抑制する電力会社を指導しているのは政府である。

それにしても最近、国内政策にせよ、外交にせよ、閣内の意見不統一が目立ちすぎる。国家には多種多様な問題が山積していて、その個々に対応する人間の数も相当で、その頂点に立つのが総理であることは言うまでもない。誰も指摘しないが、トップの目配りが緩すぎるのだろう。

最近アメリカであった似たようなケースがあった。軍のトップが「イスラム国への空爆が十分な効果を上げないなら、地上軍派遣を大統領に進言する。」とやってしまった。しかし、大統領はこの発言をすぐに否定する声明を出している。アメリカでさえそうなのだからと言って、日本の政府方針があちこちで食い違いを起こすことが許されるものではない筈だ。

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